“椅子”の多様性をドラマで表現 制作陣に聞く、又吉直樹のクリエイティブの力

射場好昭×萩原健太郎、ドラマ『椅子』対談

女優と又吉直樹の化学反応を見たかった

――射場さんにお聞きします。今回は椅子とともに女性が大きなテーマになっていました。これはどのように出てきたものでしょう?

射場:又吉さんが小説で書くのは『火花』にしても『劇場』にしても「男の子の世界」だと感じていたので、女性の中に入り込んで書いてもらったら面白いんじゃないかと思ってこちらからぶつけてみた感じです。女優さんたちと又吉さんの化学反応を見てみたかったということですね。もともと椅子と女性の形が似ているとも言われているのですが、又吉さんの椅子に対するフェティッシュな愛情はご自身の女性観にもつながっているのかなと思い、「椅子と女性の物語」を作っていただきました。

――主演の4人はどのようにキャスティングしていったのでしょう?

射場:吉岡里帆さんはご自身も椅子がお好きで、過去に又吉さんが編集長を務めた雑誌『又吉直樹マガジン 椅子』(ヨシモトブックス)にも登場されていたのですぐに頭に浮かびました。黒木華さんはとても文学的な香りのする女優さんで、セリフの読み込みが深いという印象があったので、又吉さんの作るニュアンスの複雑な世界にマッチすると思っていました。モトーラ世理奈さん、石橋菜津美さんはお二人とも若い女優さんですが、いびつなものも全力で引っ張り出して表現してくれる方だと思って決めていきました。

――「複雑な世界」や「いびつなもの」を作ろうと思ったのはなぜですか?

射場:たとえば、石橋さんが出演されていた『大豆田とわ子と三人の元夫』』(カンテレ・フジテレビ系)もわかりやすい内容ではなかったと思います。又吉さんがお好きとおっしゃっていた『ミステリと言う勿れ』』(フジテレビ系)もミステリーなんですけど、タイトルで「言う勿れ」と否定している。どちらもある意味、複雑でいびつだと思います。わかりやすすぎるもの、展開が読めてしまうものより、そういう内容の作品のほうが響いているような気がするんです。変なものを変なままで、演技力のたしかな女優さんが全力で表現しているものを見てもらいたいと思っています。

■作品情報
『WOWOWオリジナルドラマ 椅子』(全8話)
毎週金曜23:30〜放送・配信
出演:吉岡里帆、モトーラ世理奈、石橋菜津美、黒木華ほか
作:又吉直樹
企画・プロデュース:射場好昭
椅子監修:萩原健太郎
監督:松原弘志、長澤佳也
プロデューサー:小川直彦、長澤佳也、松原弘志
制作協力:TBSスパークル
製作著作:WOWOW

<各話タイトル>
※()内は登場する椅子
第1話「電球を替えたい」(No.14)
第2話「最高の日々」(スツール60)
主演:吉岡里帆

第3話「海へ」(ラ・シェーズ)
第4話「オモイデ」(Yチェア)
主演:モトーラ世理奈

第5話「まぼろしの」(ルイ・ゴースト)
第6話「雨が降っている」(ネイビーチェア)
主演:石橋菜津美

第7話「人間達の声がする」(Aチェア)
第8話「椅子を取りに行く」(アリンコチェア)
主演:黒木華

公式サイト:https://www.wowow.co.jp/drama/original/isu/

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