シャラメ姉主演『セックスライフ・オブ・カレッジガール』はキラキラしない恋愛ドラマ?
恋愛ドラマを選ぶ基準は何だろうか? 世間で流行っているから、学生生活を描いている物語が好きだから、それとも都会で生活している女性たちに対する「憧れ」だろうか。これまでの代表作といえば、『セックス・アンド・ザ・シティ』シリーズや『エミリー、パリへ行く』シリーズなど、憧れのニューヨークやパリで働き、ブランド物を身につけ闊歩するような作品が女性たちの間で人気だった。
一方で最近の作品には、キラキラした恋愛だけでなく庶民的な一面を見せるラブコメドラマが多い。中でもU-NEXTで配信された『セックスライフ・オブ・カレッジガール』は、代表的な「憧れ」よりも「共感」重視のドラマだ。
リアルな大学生の寮生活
『セックスライフ・オブ・カレッジガール』は、『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』などに出演し、人気が高いティモシー・シャラメの姉であるポーリーン・シャラメが、地味で真面目ではあるが大学生活にキラキラとした憧れを抱いているキンバリーを演じている。その他コメディ作家志望のベラ・マルホトラ(アムリット・カウル)、NY出身のお金持ちでありレズビアンであることを隠しているレイトン・マリー(レネー・ラップ)、政治家の母を持つホイットニー・チェイス(アリア・シャネル・スコット)がメインキャラクターである。
物語は、バーモント州のエセックス大学への入学からスタートする。キンバリーは、大学生活への憧れと、新しい出会いへのワクワクを携えてやってくるのだ。そして、それぞれ性格もバックグラウンドも異なる4人が同じ寮の部屋で生活することになり、普段は交わらない性格同士でありながらも、時に相談し合い、助け合いながら恋愛を学んでいくというような話である。
「共感」できる点が多いと述べたが、第一にキャラ設定が「リアル」ということが挙げられるだろう。キンバリーは主人公でありながらも、恋愛経験が少なく奥手な印象がある。そして金銭面についても、週5でバイトをして自分で生活費を賄い、奨学金で大学に通っている。現実に、大学生になったばかりとなれば、恋愛経験豊富な人も多くはないだろう。またラブコメの主人公の多くはお金持ちだったり、働いている設定でもその一等地でどう生活しているんだろう? と不思議に思うことも少なくはない。
実際、同部屋のレイトンは桁違いのお金持ちではあるが、一方で本当の自分をさらけ出すことができない、等身大の悩みを抱えている。カミングアウトについてだけでなく、自分しか知り得ない悩みを抱えている人もレイトンに共感できるだろう。そして親友を傷つけて浮気をした兄に対しても正義感のある発言をしているところから、「気取っている嫌味な令嬢」といった典型的なキャラクターではなく、むしろ彼女への愛着が芽生えてくる。
一方で、ベラとホイットニーは、大学に入ることで親という呪縛から離れることを心待ちにしていた。インド系の両親を持つベラは医者になることを望まれているが、自分はコメディ作家になりたいと大学のコメディー雑誌のクラブへの入部を決意する。そして性にも興味があり、親から離れられる寮生活の大学で自分がなりたい理想を着々と叶えようとする。また、ホイットニーも政治家の母の権力から離れるためにあえて遠い大学を選び、普通の大学生として過ごしたいと願っている。ホイットニーの視点から見ても、ベラ同様、親が理想の人生を強いてくるような環境からの脱出、という意味で感情移入しやすい点が多い。