新『ゴシップガール』の魅力を解剖 SNS社会で生きるティーンの新しい価値観と苦悩
2007〜2012年に世界200カ国で放送され、一世を風靡した『ゴシップガール』が2021年、HBO Maxオリジナルの『ゴシップガール』として誕生。日本では2021年8月20日よりU-NEXTにてPart1(第1話~第6話)が、12月24日よりPart2(第7話~第12話)が配信された。約10年の時を超えて生まれた新『ゴシップガール』は、今の時代を生きるセレブな高校生たちのスクールライフが描かれている。今回は、オリジナル版と比較しながら、同作の魅力を紹介しよう。
社会現象となったオリジナル版から10年、新ゴシップガールが誕生
『ゴシップガール』はニューヨークを舞台にしたセレブな高校生たちと、それを揺るがすゴシップサイト「ゴシップガール」の日常を描いた物語。全米では2007〜2012年に放送された全6シーズンをのべ1億人以上が視聴。世界200カ国以上で放送される社会現象となった。日本でもその人気は高く、2010年から日本テレビ系列にて放送。現在は、各種動画配信サービスにて配信されている。
そんな伝説的なドラマの新作が、オリジナルシリーズの制作陣のもと、キャストを刷新したリブート版として復活したのは2021年のこと。世界中のファンが期待に胸を膨らませる中、オリジナルシリーズと同じニューヨークの高級住宅街アッパー・イースト・サイドにある高校を舞台に新たなストーリーとして描かれた。
気になるストーリーは、オリジナル版とは全くの別物。それゆえ、これまで『ゴシップガール』を視聴していない人にも楽しめる内容になっている。もちろんオリジナル版のファンにはたまらない演出もある。例えば、オリジナル版の主役セリーナ・ヴァンダーウッドセンや、ブレア・ウォルドーフらの名前が、同じ学校で代々語り継がれるレジェンド的な存在として名前が上がることもある。当時、圧倒的な力を持っていた彼女たちが、今の高校生たちにとってどんな存在なのかを想像しながら楽しめるようになっている。
第1話で判明するゴシップガールの正体
ここから先は、ネタバレを含みながら新ゴシップガールの魅力を紹介していこう。
まず、オリジナル版とリブート版の大きな違いとして「ゴシップガール」の立ち位置、そのものが挙げられる。
オリジナル版ではセレブな高校生たちのゴシップを取り上げるブログだった「ゴシップガール」が、リブート版ではその運営場所をInstagramに転身。長い年月を経て、SNSが普及し、ブログよりもInstagramの方がティーンになじみ深い存在になったという社会背景が見て取れる。
違いはそれだけではない。オリジナル版では、ブログ「ゴシップガール」の運営者の正体と目的は、シーズン6の終盤まで明かされることがなかったのに対し、リブート版では第1話でアカウントの所有者、設立目的が明らかに!
しかも、その正体は、セレブな高校生たちの教師たち。学園の女王・ジュリアンのマネージャー的存在であるモネとルナによって、同僚の教師がクビになったことをきっかけに、アカウントを設立したという理由まで描かれている。
この描写を見た時「最初から正体がわかってしまうのは楽しみが半減するのではないか」と思ったのは、正直なところ。しかし、話が進むにつれて運営している教師たちが仲間割れすることがあれば、「ある生徒のために」と教師心で動いたことがネガティブに作用してしまうこともあり、なかなかうまくいかないのがおもしろい。
教師たちの手には追えないくらい、猛スピードで影響力を増していく「ゴシップガール」がどう作用していくのかは注目ポイントの1つだ。