シャラメ姉主演『セックスライフ・オブ・カレッジガール』はキラキラしない恋愛ドラマ?
自由だからこそ、直面する「恋愛」の壁
このドラマのメインである「恋愛」についても、大学生という少し自由な環境になったからこそ、直面するであろう事が描かれている。キンバリーは、人気者のレイトンの兄・ニコ(ギャビン・レザーウッド)と親密な仲になったことがきっかけでセックス中毒になってしまったり、浮気をされるなど振り回されてしまう。レイトンは、レズビアンだとカミングアウトできず、心に隠していることがあるようだと高校時代からの友人を失い、本気で恋したアリシア(ミドリ・フランシス)との関係も危うくなってしまう。ベラは、女性の人数が限られているからと入部を断られていた憧れのクラブに入ることができたものの、クラブの先輩にセクハラをされてしまい、大きな傷を負うことになる。ホイットニーは自身が所属するサッカー部のコーチと不倫関係になり、危ない恋に陥ってしまう。彼女たちにとっての初めての経験が、時には視聴者にとっても自分の学生時代の記憶として蘇るのではないだろうか。
ミンディ・カリングが生み出す、等身大の女の子の世界
『セックスライフ・オブ・カレッジガール』は、コメディアンで作家のミンディ・カリングが制作総指揮と企画、脚本を務めている。彼女は『オーシャンズ8』でアミータ役を演じるなど俳優としてだけでなく、『ジ・オフィス』でエミー賞脚本賞にノミネート、映画『キューティ・ブロンド』の続編でも脚本を担当することが決定している現在、最も熱い脚本家の一人だ。『セックスライフ・オブ・カレッジガール』のベラはミンディと同じインド系であり、コメディ作家を目指していることから、彼女とつながる点が多いのだろう。
ミンディは、昨年シーズン2が配信されたNetflixオリジナルドラマ『私の“初めて”日記』でも脚本を務めている。『私の“初めて”日記』は、インドから幼い頃アメリカに移り住んできたデービー(マイトレイ・ラマクリシュ)の、高校での「初めて」を記録したようなドラマで、特に校内で人気者のイケメンとの恋愛について重点が置かれている。彼女もまた『セックス・ライフ・オブ・カレッジガール』の4人と同じように、少し不器用で全てを完璧に出来ないところに共感を持てる。
酒とドラックがあるところに行きたい、スポーツができる彼氏が欲しいと神頼みし、父が他界したショックで足が麻痺してしまった前年にできなかったことを取り戻すかのように奮闘するデービー。彼氏を作るためにスカートを短くしてヒールを履いてみるなど、やりたいことをすぐに行動に移したり、勉強もできる多才なタイプではあるが、少々怒りっぽく世間知らずな点も多い。初めてのセックスや三角関係に悩むことがあるのはもちろん、親抜きのパーティーやイケメンにあだ名で呼ばれるだけで舞い上がってしまうほどだ。
2作品の共通点として、恋愛に対する完璧な知識など誰も持っていないということが挙げられる。また、知らないことに対する探究心とチャレンジすることも学ぶことができるだろう。完璧に雲の上の存在のようなキャラクターが出てくる作品で現実逃避をするのも悪くないが、妙にリアルで自分と重ね合わせることができるような作品も魅力的だ。2作品とも続編の制作が決定しており、より人間味のある展開が待ち受けているに違いない。
■配信情報
『セックスライフ・オブ・カレッジガール』(全10話)
U-NEXTにて見放題で独占配信中
企画・脚本・製作総指揮:ミンディ・カリング
出演:ポーリーヌ・シャラメ、アムリット・カウル、レネー・ラップ、アリア・シャネル・スコット、ギャビン・レザーウッド、ミドリ・フランシス、クリス・マイヤー、レニカ・ウィリアムズほか
原題:The Sex Lives of College Girls
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