『ちむどんどん』前田公輝にも当てはまる? “初恋は実らない”朝ドラヒロインの法則

『ちむどんどん』前田公輝の初恋は実らない?

 NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』は第6週から“東京・鶴見編”に突入。ヒロイン・暢子(黒島結菜)は銀座のイタリアンレストラン「アッラ・フォンターナ」に就職が決まり、料理人になるという夢への一歩をついに踏み出した。そんな彼女の背中を追いかけようと、東京行きの準備を虎視たんたんと整えているのが幼なじみの智(前田公輝)だ。

 やんばる村にある砂川豆腐店の長男として生まれ、幼い頃から病弱な母に代わって家業を切り盛りしてきた智。高校にも行かず働いて家族を養う苦労人だが、それを一切顔に出すことはない。将来は食品卸の仕事もしたいとハンバーガーショップでのアルバイトにも精を出し、フライドポテトをメニューに加えることを思いついた際には原料の仕入れ先の開拓にも一人で黙々と取り組んでいた。

 東京行きもただの憧れではなく、「商売の修業をするなら扱う品物の量が多い大都会」という明確な理由がある。どんなに辛酸をなめても、地道な努力で確実に目標へと近づく智は、本作で好感度No.1のキャラクターと言っても過言ではない。ある意味もう一人の“主人公”だ。

 そんな智は昔から暢子に思いを寄せているようだが、本人には全く気づいてもらえない。智以外にも東京からの転校生・和彦(田中奏生/宮沢氷魚)、陸上部のキャプテン・正男(秋元龍太朗)、「アッラ・フォンターナ」の若きシェフ・矢作(井之脇海)と、暢子の恋のお相手になりそうな人物はたくさん登場しているが、彼女自身はまだ恋愛に対して興味すら持っていないのだ。だからこそ、余計に夢や目標、そして恋と色んな要素を帯びた智に視聴者の「応援したい!」が集まっている。

 しかし、“ヒロインの初恋は実らない”が朝ドラのお約束。『おかえりモネ』の百音(清原果耶)や『カムカムエヴリバディ』の安子(上白石萌音)など、近年のヒロインは法則を覆して最初の恋を成就させる傾向にあるが、智はどうもそのパターンには当てはまらない気がしている(“ヒロイン”ではないけれど)。なぜなら、智の側にはもっと彼を理解してくれる存在がいるから。暢子の妹・歌子(上白石萌歌)だ。

「俺にとっては、歌子が一等賞!」

 小学生の頃、運動会のリレーでビリになってしまった自分に手作りのメダルをかけてくれた智に恋をした歌子。誰よりも近くで夢に向かって頑張る智の姿を見守り、彼の誠実で優しい人柄に惹かれ続けてきた。そんな歌子だからこそ、すぐさま智が暢子を好きなことも察してしまう。恋する相手は幼い頃から身体が弱くて引っ込み思案な自分とは正反対に、活発で誰からも愛される姉が好きという、かなり切ない設定だ。

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