『ちむどんどん』で前田公輝が体現する誠実さ NHK作品との縁が深いキャリアにも注目

『ちむどんどん』前田公輝が体現する誠実さ

 現在第4週が放送中の『ちむどんどん』(NHK総合)の良心とも言える存在が、前田公輝演じる砂川智だ。子供時代を好演していた宮下柚百の評判もSNS上で良かっただけに、いかにして成長した智を演じるか注目された前田。もともと豆腐屋の長男として病弱な母を支え、比嘉家の4兄妹のことも気にかけていた彼の好感度は、どんどん上がり続けるばかりだ。もちろん、比嘉歌子(上白石萌歌)との関係性も含めキャラクターそのものの魅力が豊富ではあるが、それを体現する前田自体が誠実な印象の強い俳優である。

 30代前後の視聴者にとって、前田といえばNHK教育テレビ『天才てれびくんMAX』でのてれび戦士や、同じくNHK教育テレビの『さわやか3組』の主演・村上役としての記憶が強く残っているだろう。子役として活躍しながら、2007年には芸能事務所ホリプロに所属し、『受験の神様』(日本テレビ系)や『ごくせん』第3シリーズ(日本テレビ系)に出演、そして17歳にして『ひぐらしのなく頃に』の前原圭一役で映画初主演を飾る。

 もともとNHK作品での活躍が多かっただけに、カルト的人気を誇るサスペンスホラーへの出演が新鮮だった。加えて、彼の演じた前原圭一は引っ越し先の雛見沢村で人間不信に陥っていく難しい役柄であり、前田にとっては主演に重ねて役者としても挑戦作となったことだろう。

 それから2022年に至るまでドラマに映画、舞台と多岐にわたって活躍してきた前田。舞台に関しては、2010年の『白虎隊・ザ・アイドル』でデビューと同時に初主演を成し遂げた。このように、早い段階で好機を掴み、実力でしっかりその後の足場を築き上げてきたような印象が強いのだ。近年に至っては人気シリーズ『HiGH&LOW』の轟洋介役としても知られている。あらゆるジャンルの作品で様々な役を演じこなすバイプレイヤーとして活躍する前田だが、そのキャリアを振り返ってみると、やはり原点であるNHK作品とは強い縁で結ばれ続けているように思える。

 2014年の『プラトニック』(NHK BSプレミアム)や2015年の『だから荒野』(NHK BSプレミアム)に続き、船越英一郎でお馴染みの『赤ひげ』シリーズ(NHK BSプレミアム)の全シーズンに津川玄三役として出演してきた。今秋にシーズン4の放送を控えている中、前田は「待望」と公言する朝ドラに遂に登場したのである。

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