『イカゲーム』が大賞、ジュノ&キム・テリが最優秀演技賞に 第58回百想芸術大賞を総括

第58回百想芸術大賞を総括

 2022年も韓ドラファンの最大の楽しみである「百想芸術大賞」が執り行われた。韓国とアジア圏を越えて、世界を席巻したK-コンテンツの主役たちが集結したのはもちろん、無観客にてソーシャルディスタンスを保ちながら開催されていた昨年や一昨年と比べ、2年ぶりにファンの歓声が戻った。今年のテーマである「再び、春」にふさわしく、「もう一度、ここから」という力強いエネルギーを感じるような華やかな授賞式となった。今年の百想で印象的だった出来事を結果と共に振り返りたい。

今年の百想を席巻したNetflix

『イカゲーム』(Netflixにて配信中)

 これまでノミネートすることはあっても受賞には至らなかったNetflixオリジナル作品だったが、テレビ部門大賞を受賞した『イカゲーム』をはじめ、作品賞を受賞した『D.P. -脱走兵追跡官-』、脚本賞を受賞した『未成年裁判』など、今年はNetflix作品がテレビとOTT(オーバー・ザ・トップ)の境界を完全に崩し、百想芸術大賞をさらった。2021年がNetflixの年だったことをもう一度証明した授賞式だった。

 壮絶なデスゲームで世界中を熱狂させた『イカゲーム』は、演出賞と芸術賞(音楽)、そしてテレビ部門の最高賞である大賞を受賞した。OTTオリジナル作品として歴代百想芸術大賞初の大賞受賞となり、歴史的快挙となった。ファン・ドンヒョク監督は、「奇怪で難解なこの作品を信じて投資してくれたNetflix Koreaの皆さんとすべての俳優に感謝する。“この作品は国内用ではなく国際用のようだ”と言ってくれたキム・ジヨン代表に感謝している」(※1)と語った。

 表現と描写の残虐性のために韓国内で賛否あったのは事実だが、おそらくそれも制作段階から計算済みだったのだろう。「デスゲーム」という誰もが没入しやすい題材と、五感を刺激する奇抜なビジュアル、そして極めてシンプルでわかりやすいストーリーで、「Kドラマ」を世界中に広めた功績は大きい。シーズン2を準備しているとも語っており、続編への期待が高まる。

『D.P.-脱走兵追跡官-』(c)Blackaura (c)C&B Photography

 そして今年の百想のもう一つの主役は、同じくNetflixオリジナル作品の『D.P. -脱走兵追跡官-』だった。ドラマ作品賞と共にチョ・ヒョンチョルの助演賞、ク・ギョファンの新人演技賞で3冠王を占めた。今まで触れられなかった韓国の徴兵制の闇に迫り、軍隊の不条理と「傍観する社会」へのメッセージを投げかけただけでなく、エンタメとしても高い没入度を誇った本作品。「歴代最高のNetflixオリジナル作品」と韓国国内でも高い評価を得ていた作品なだけに、まさに視聴率や話題性だけではなく“芸術性”の観点から、「作品性」を優先した百想らしい選択と言えるだろう。本作もシーズン2がまもなく撮影に突入することを知らせており、期待が高まる。

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