『悪女(わる)』麻理鈴が“男女格差”に挑む 鈴木伸之が“男のつらさ”を体現

『悪女(わる)』鈴木伸之が男のつらさを体現

 男と女が手を取り合って、平等に働ける社会があったら、どんなにいいだろう。そう願いながらも、私たち女性は心のどこかで諦めていた気がする。「大きなプロジェクトのリーダーは、女には無理だ」と言われても、グッと堪える。できるだけ、その場を荒らさないように。だって、その方が円滑に進んでいくから。仕事に精を出せば、「女を捨ててる」と揶揄され、成功した時の褒め言葉には、“女なのに”がついて回る。それでも、大半の人は見て見ぬふりをしてきたのではないだろうか。

 多くの人が「仕方ない」と蓋をしてきた問題に突っ込んでいくのが、田中麻理鈴(今田美桜)だ。5月4日放送の『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ系)で、麻理鈴が挑んだのは“男女格差”。出世の登竜門と言われる「125周年プロジェクト」を通して、男と女が仲良く働ける社会を模索していく。

 今回、男のつらさを体現していたのが、小野忠(鈴木伸之)だ。彼は、女性の目線に立って見ると、かなりの悪人である。何か問題が起きると、「すぐ感情的になるから、嫌なんだよ。女は」と“女”全体を批判して、同期の活躍を紹介する時には、「“女だけど”優秀」と余計な一言を加える。それも、自分では嫌味を言っていると気付いていないから、タチが悪い。

 しかし、彼も彼で、男ならではのプレッシャーと戦いながら生きていた。女性は専業主婦になる道もあるが、男性は仕事ができないと、「ヒモ」「ニート」と言われてしまう。だから、“仕事に邁進しなければ”とたくさんのものを背負いすぎてしまったのだ。そして、「女は気楽でいいよ」と見下すことで、自分を保っていたのかもしれない。男性のなかには、彼のように「男には、人生の選択肢が少ない」と感じている人も多いのだろう。

 男には男のつらさがあり、女には女のつらさがある。そんなことは分かっているはずなのに、「125周年チーム」は反発し合ってしまう。小野が、「男だから、頑張らないと」と孤軍奮闘する一方で、女性陣は「どうせ私が言っても……」と自分を卑下している。さらに、世界的なゲームデザイナー・鬼丸(冨永愛)とのコラボ企画も、小野がフェミニストを攻撃するような発言をしたせいで、白紙に。小野の身勝手さに嫌気が差したエンジニア部の川端光(近藤春菜)は、ついにチームを降りてしまう。

 川端は、鬼丸の「丸く収めてばかりじゃ、理不尽なことっていつまで経っても変わらないよ?」という言葉に、影響を受けた部分もあったのかもしれない。あるいは、小野に「変わってほしい」と願いを込めたのではないだろうか。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる