『持続可能な恋ですか?』上野樹里と田中圭が“プチ逃避行” 無駄を楽しむ時間の尊さ

『じぞ恋』上野樹里と田中圭が“プチ逃避行”

「どんな生き方を選んでも、“25歳で売れ残りのクリスマスケーキ”なんて言われた昭和の頃よりは自由だ。ただいろんな生き方がありになった分、自分と同じ生き方の人を見つけるのは昔より難しい」

「この体、頭、気持ち、私の全部をやりたいことのために使いたい。結婚してる暇はない」

 主人公のヨガインストラクター・沢田杏花(上野樹里)がこぼす所感や社会への眼差し全てに心当たりがある。女社長でも仕事一筋のバリキャリなわけでも、結婚歴があるわけでもない。確固たる“自分らしさ”を持ち合わせているわけでも、はっきりと意志を持って「結婚しない独身主義」を選択し貫いているわけでもない。ただ日々の生活はそれなりに充実している。『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(TBS系)は、そんなアラサー独身女性が主人公だ。そして第1話では、そんな主人公が、妻と死別した父・林太郎(松重豊)と父娘で婚活パーティーに参戦することになるまでが描かれる。

 林太郎と2人暮らしの杏花は、父親の世話をしながら、亡き母が結婚生活中本当に幸せだったのか半信半疑で、結婚する意味がイマイチわからない。しかし、林太郎の「こんなお父さんでも好きになれた、陽子さん(八木亜希子)と一緒にいる時の自分は」「ただ意味のない話を陽子さんとするのが何より楽しかった」という言葉こそが早くも“結婚”がなんたるかを示唆してくれているように思える。

 一見“無意味”で“無駄”に思える他愛もないことを共有し合える相手は、大人になればなるほどそうそう簡単には見つからない。だからこそ、運命的に思えたのが起業セミナーで出会ったシングルファーザー・東村晴太(田中圭)との、ともすれば“無駄”にも思える“プチ逃避行”だ。

 母親の三回忌の後、「こんな格好じゃどこにも行けない」と言う杏花を晴太は、行き先も決めないで一番最初に来たバスに乗ってみる行き当たりばったりの無作為なショート・トリップに連れ出した。窓から覗く雲の形を見て“亀に似ている”と言う杏花に、ウミガメについての雑学を披露する晴太。次に乗ってくる男の人が着ているシャツの色でジュースの奢りを賭ける。ある意味、“無駄”の極みと言えるかもしれないその先に待ち受けていた綺麗な夕焼けは、忙しい日常では見落としてしまいがちなとびっきりのご褒美だ。その夕日の美しさを前に、そして晴太の包容力も相まって杏花は素直に自身の気持ちをこぼす。

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