大森南朋、『ちむどんどん』で見せた柔らかさ 賢三は近年の朝ドラの系譜を継いだ父親に?

大森南朋、『ちむどんどん』で見せた柔らかさ

 第1話では、おてんばでクラスの男子から女らしくしろと言われた暢子に「暢子は暢子のままで上等。自分の信じた道を行け」と言葉を授ける賢三の姿が印象に残った。当時として珍しく、ジェンダーバイアスに捉われず子どもたちの個性を尊重する父親で、自身も積極的に台所に入って料理を振る舞う。大森南朋の演技はそんな賢三の柔らかさと同時に、戦争経験者として深く心に刻まれた悲惨な記憶を感じさせる。妻の優子(仲間由紀恵)も沖縄戦の幕開けとなった空襲で実家を失っており、彼らは生き残ったことをどこかで申し訳なく思いながらも、その使命を果たそうとしているのだろう。

 食べることは生きること。長男の賢秀(浅川大治)が可愛がっている豚のアババを食べるときも、「『いただきます』とは命をいただくこと。だからきちんと感謝しながらきれいに食べてあげる。それが人の道、筋を通すということさぁ」と命の大切さを説いた賢三。そんな父親のもとで幼少期を送った暢子だからこそ、人一倍食べることに幸せを感じ、やがては自分が作る側となって、誰かを笑顔にしたいという夢にまい進することができるのだ。

 大森は4月15日の朝ドラの放送後、情報番組『あさイチ』に出演を予定している。MCを務める博多華丸が食育のシーンについても聞いてみたいと語っていたように、ここでしか聞けない裏話も飛び出しそうだ。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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