『カムカム』ロスに捧ぐ! 京都×和菓子×家族を描くアニメ『であいもん』に漂う名作の予感

 視聴者に惜しまれながらも、4月8日に最終回を迎えたNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(以下、『カムカム』)。朝ドラ史上初となる三世代のヒロインが、ラジオ英語講座とともに歩んだ100年に渡る物語を描いた同作には、「バトンをつなぐ」というテーマがあった。

 それは単純に、親から子へとつながれていく血縁だけじゃない。一人ひとりの営みが(たとえ無意味に思えても、どんなに小さくとも)歴史をつないでいるし、誰もが祈りや愛を込めたバトンを渡すことができる。『カムカム』はそう思わせてくれる人生賛歌の物語であり、今まさにその続きを生きている私たちを大いに感動させた。

 前置きが長くなってしまったが、そんな『カムカム』の終了でロスに陥っている方へおすすめしたい作品がある。同作の最終週放送の最中にスタートしたアニメ『であいもん』だ。

 本作は、『ヤングエース』(KADOKAWA刊)にて連載中の浅野りんによる同名漫画を原作としたTVアニメ。京都を舞台に人と人を和菓子がつなぐ、心温まる絆の物語を描いている。『カムカム』を観ていた人なら、「京都」「和菓子」というワードに思わず反応してしまうことだろう。深津絵里と川栄李奈演じる母と娘が暮らしていたのが京都であり、その祖母にあたる上白石萌音演じる初代ヒロインは和菓子屋で生まれた。特に和菓子は同作で重要な役割を果たしており、人が人を思う気持ちの化身にもなっていたので、同じものが媒介となって誰かと誰かの心をつなぐ『であいもん』とは共通点が非常に多い。だが、おすすめしたいのはそれだけではなく、本作が老若男女、普段アニメを観る観ないに問わず、幅広い層に刺さる要素を持っているからだ。

 物語は夢を追って上京した主人公の納野和が、10年ぶりに京都の実家に帰ってくるところから始まる。父の代わりに実家が営む和菓子屋「緑松」を継ぐと意気込む和だったが、彼の知らない間に跡継ぎ候補で看板娘の少女・雪平一果が、納野家に居候をしながら働いていた。和は両親が行方不明で身寄りのない一果の親代わりを任されるも、突然戻ってきた和をライバル視し、冷たい態度を取る一果。第1話ではそんな2人の距離が、ある出来事をきっかけに少しだけ近づく。それは電話でよもぎ饅頭の大口注文が入るも、実は一果が店での喫煙を注意した客からのいたずらだったことが発覚した時。責任を感じて1人路上で商品を売りさばこうとするが、なかなか売れずにいたところ、和がミュージシャン時代の経験を活かして彼女を助けるのだ。

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