浜辺美波、『約束のネバーランド』で見せた芸歴10年目の進化 実写作品で重宝される適応力
『君の膵臓をたべたい』で浜辺美波が見事な青春ヒロインぶりを見せてから、あと何カ月かで5年が経とうとしている。もうそんなに経ったのかと、時間の流れのはやさにはただただ驚くばかりではあるが、ヒット作に恵まれると急激に出演作が増えるというのは演技者の常であり、それに従うようにその後10本以上の映画を含みさまざまな場所で浜辺美波という俳優の進化を目の当たりにする機会が増えることとなったのは非常に興味深いことである。
4月2日にフジテレビ系列で地上波初放送を迎える『約束のネバーランド』も、その進化を垣間見ることができる作品のひとつであろう。テレビアニメ化もされた白井カイウ原作・出水ぽすか作画の同名コミックを、実写映画版の『僕だけがいない街』の平川雄一朗監督と後藤法子脚本で実写映画化した同作で、浜辺は主人公のエマという15歳の少女を演じている(原作では11歳であったが、映画版ではキャスティングの都合上から設定変更されたのであろう)。城桧吏や板垣李光人といった、浜辺よりも若い世代の俳優たちを率いるというのはこれまでの彼女の出演作からすればなかなか珍しいのではないだろうか。
もっともこの映画自体、製作が発表されたタイミングから、あらゆる漫画原作の実写化と同じように批判的な視点にさらされてきたことは言うまでもない。それはもはや“よくあること”であり、かえって実写化のハードルが下がったこともあってか公開時には賛(もしくは容認)と否(もしくは拒絶)が綺麗に二分されるかたちとなった印象を受ける。実際に作品を観てみれば、物語のカギとなる“鬼”のCGはかなり丹念に作り込まれている一方、やや急ぎ足で進むストーリーの脚色具合や、美術や衣装の馴染みかた、そして子役演出の部分に多少の粗が見受けられ、近年の日本映画界で何が軽視されてきたのかが顕著に見て取れる仕上がりとなっていた。
とりわけ“子役演出”という部分に関しては、設定上15歳未満の子供たちが作品の中枢を担う本作では特に重視すべきものであったようにも思えてならない。考えてみればこの20年ほど、メジャー系列の日本映画で15歳未満の登場人物を主人公にした物語というのは、数えるほどしかない。もちろんひと握りの“天才子役”は定期的かつ頻繁に現れる状況とはいえ、演じる機会の多さが明白に役者としての成長を左右しやすい子役界隈にとっては喫緊の課題といえよう。そういった意味では、撮影当時10代後半であった浜辺と板垣を中心に据えつつも、10代前半以下の子役たちが大勢登場する本作のような作品は必要性が高く、その分彼らによりスポットライトが当たるような見せ方が求められたところだ。