『カムカムエヴリバディ』森山良子がもたらす新たな風 ひなたの目にアニーはどう映る?

『カムカム』森山良子がもたらす新たな風

 『カムカムエヴリバディ』(NHK総合、以後『カムカム』)に彩りを添え感動を与える存在として、AIが歌う主題歌「アルデバラン」は欠かせない。AIたっての希望で森山直太朗が作詞作曲を手掛けていることでも知られている。

 なんとそんな『カムカム』にその母・森山良子が出演する。江戸時代を舞台にした作品製作のためにハリウッドの映画会社がひなた(川栄李奈)の働く映画村を視察で訪れるが、その中にいた“驚きの女神”ことアニー役を演じているのだ。遠目からでも白髪が美しく、いかにも洗練された女性であることがわかる。

 森山は本作が朝ドラ初出演。言わずと知れた日本が誇るトップシンガーで、2016年にデビュー50周年を迎えた。高い歌唱力と表現力でそれぞれの楽曲の持つ独自の魅力を最大限引き出し、その空間ごと彼女色にすっかり染め上げてしまう。あの伸びやかで温かく優しい声は様々なものを浄化し、聴く者の脳内にそれぞれが歌から連想する情景をたちまち再生させて、なんだか懐かしい思いを呼び起こさせる。そんな表現力は歌だけにとどまらず、息子・直太朗同様に演技でも発揮され高い評価を得ている。

 ドラマ初出演となった『金曜日の妻たちへIII 恋におちて』(TBS系)では、奥田瑛二演じる年下の男と不倫に落ち、少しずつ自分を見つめ直しながら変化を遂げる主婦役を好演。日曜劇場『おとうさん』(TBS系)では、田村正和の後妻役の「タマちゃん」を演じ上げた。錚々たる共演者にも引けを取らない存在感、オーラは流石スターだ。近年では声優としても活躍の場を広げており、記念すべき声優初挑戦はスタジオジブリ作品『思い出のマーニー』の晩年のマーニー役。細田守監督作品『竜とそばかすの姫』では、漁師として働きながら合唱隊のリーダーも務める・吉谷さん役を担当。主人公のすずの母親代わりを務め、彼女を見守るパワフルで温かい人物を担当していたのも記憶に新しい。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる