『ドクターホワイト』白夜に芽生えた他者への同苦 浜辺美波にとって節目を刻む作品に

『ドクターホワイト』浜辺美波の節目の作品に

 驚異的な医療知識で誤診を見抜く白夜(浜辺美波)の出自をめぐるミステリーもいよいよ佳境に入った。救世主として現れた勇気(毎熊克哉)に晴汝(岡崎紗絵)の手術をまかせ、将貴(柄本佑)と白夜は海江田(石橋凌)に会うために一計を案じる。海江田を尾行してたどり着いた先には病院があった。

 3月21日に放送された『ドクターホワイト』(カンテレ・フジテレビ系)最終話では、ついに白夜の出生の謎が明かされた。海江田の一人娘である朝絵は難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症し、病院のベッドで寝たきりの生活を送っていた。白夜と朝絵はともに希少な「Rh null」型の血液を持っており、将貴は海江田が朝絵のために白夜を利用しようとしていると推測。朝絵の名前を出せば、海江田は娘を心配して病院に駆けつけると将貴は踏んでいたが、その予想は的中した。白夜を目にした瞬間、海江田は狼狽するような表情を浮かべたが、すぐに平静を装い、2人を病院内に招いた。

 朝絵のドナーとして幼くして誘拐されたのが白夜だった、という将貴の仮説を海江田は全否定し、「医療スタッフとして興味を抱いただけ」だと強弁する。海江田の言葉に反応したのが白夜で、「なぜあなたは私から目を逸らし続けるのですか?」とまっすぐに問いかける。“父”と“娘”の対面は悲しみと赦しの入り混じるものになった。海江田に向かって「私をきちんと見てください」と言い、「お父さん」と続けた。視聴者の驚きをよそに「私は朝絵さんの命を救うため、そのためだけに生まれてきた朝絵さんの妹」と白夜は言葉を次ぐ。「私は悲しくて泣いているのではありません」。朝絵を助けたいという海江田の心に触れて、白夜は涙を流す。「あなたは優しい父親ですね」と白夜。「なぜ?」と聞き返す海江田に、これまでに感じた喜怒哀楽や命の尊さについて語った後、白夜は海江田が「罪の意識に苦しんでいる」と指摘した。

 医療の現場に立ち、将貴や晴汝、CDTのメンバーとの交流を通じて人間としての感情を取り戻した白夜が最後に診たもの。それは愛娘のために、自らの人間性を捨てようとして苦しむ血のつながった父親の姿だった。命の意味について考えてきた白夜がたどり着いた結論は「この命は、朝絵さんを救うためにある」。それが運命ならとほほ笑む白夜の真意は、単なる自己犠牲や自身を無に帰するような考え方とは違う。人間としての感情を知った時、白夜の中に他者への共感が芽生え、相手のために苦しみさえ分かち合いたいと思うようになったのだ。

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