『SATC』新章が描いた50代の新たな人生 キャリーたちが辿り着いた道とは
シャーロット・ヨークの変化
LGBTQの話題といえば、シャーロットも直面することになる。
ドラマでシャーロットは離婚を経験した後、ハリーに出会い、再び結婚。その後養子リリーを儲け、さらに妊娠は難しいだろうと医師に告げられていながらも奇跡的に妊娠し、ローズを授かった。
約20年後の今作では、娘たちは成長し、思春期真っ最中。シャーロットは、ローズがリリーのように女の子らしい服を着たがらないことに対し、少し苛立ちを覚え始める。さらに追い打ちをかけるように学校では「ローズ」ではなく、「ロック」に改名していることを知り、自分が気がつけなかったローズの一面にショックを受けることになる。昔から思いやりが人一倍あるシャーロットだが、娘の性自認に対しても人一倍理解しようと努力をする。
彼女は、ゲイで友人のアンソニーに相談をしたり、キャリーの誘いでミランダと3人でチェの公演に行き話を聞いたことで、家族でローズの想いを受け入れようと少しずつ変化していった。
ドラマ版では、スタンフォードとアンソニーに対しゲイのステレオタイプのようなキャラクター設定をしていたり、LGBTQ+コミュニティについてもあまり詳しく言及されていなかったが、今作では様々な性的指向や性自認の人々にフォーカスが当てられており、どう向き合っていくべきかをより視聴者が理解しやすくなっていると感じる。
『AJLT』は内容にかなり現実的な話題も含まれているので、「あまりに辛すぎる」という感想を持つ方も多かったのではないだろうか。また、本作ではオリジナルキャストも減っていて、かつ設定としてはアフターコロナの話である。私たち視聴者は、作品を観ている中で「なぜあの人は出てこなくなってしまったのか」や「パンデミックの話をしてる」なんて毎回現実のリマインドされてしまうのは不本意であり、賛否両論も致し方ないだろう。
しかし、一ファンとしてドラマシリーズと映画2作品の「その後」を観れてやはり嬉しく、そのおかげでドラマをずっと心の中で生きさせることができると感じている。50代になっても、衰えはあれどニューヨークでお洒落に生きている彼女たちを大尊敬。いつまでも輝かしく生きていきたいと思わせてくれる作品だ。
■配信情報
『AND JUST LIKE THAT… / セックス・アンド・ザ・シティ新章』
U-NEXTにて独占配信中
出演:サラ・ジェシカ・パーカー、シンシア・ニクソン、リスティン・デイビス、クリス・ノース、デヴィッド・エイゲンバーグ、エヴァン・ハンドラー、ウィリー・ガーソン、マリオ・カントーネ、ニコール・アリ・パーカー、サラ・ラミレス、キャシー・アン、アレクサ・スウィントン、ニール・カニンガム、クリー・チッキーノ、カレン・ピットマン、ボビー・リー
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