『SATC』クリス・ノース、性的暴行告発で所属事務所解雇 ドラマも降板に

 『セックス・アンド・ザ・シティ』シリーズのミスター・ビッグ役として知られるクリス・ノースが、複数の女性から性的暴行を告発され、所属事務所からの解雇や、ドラマを降板させられるなどの事態となっている。

クリス・ノース

 ノースは12月16日のThe Hollywood Reporterの記事で、2人の女性から性的暴行を告発され、その後3人目となる女性による被害の告発、さらに女優ゾーイ・リスター=ジョーンズからも、ノースに受けた不適切な行動を暴露された。

 最初に性的暴行を告発した2人の女性は、それぞれ2004年、2015年に被害に遭ったことについて告白している。

 2004年、当時22歳で、ノースをはじめとする著名人と取引のある会社で働いていたというゾーイ(仮名)は、ロサンゼルスで受けた被害について語り、「『SATC』でノースが再演しているのを見て、私の中で何かが起こり、彼がどのような人物であるかを公表する時だと思いました」と、告発に踏み入れた動機について明かした。

 もう1人の女性リリー(仮名)は、2015年、当時25歳の時にニューヨークで受けた被害について語っており、2人の出会いはナイトクラブだったという。ディナーのあと、自宅に誘われた彼女は、ノースから強制的に性的暴行を受けたと訴えている。

 2人の女性による告発の後、3人目の告発者となる女性が声をあげた。2010年、当時18歳のアヴァ(仮名)は、ニューヨークのレストランで働いていた。彼女が働くレストランに来店したノースは、泥酔状態だったそう。彼女は、ノースから体を触るなどの被害を受けたことを告白。さらにそのあと、肉体関係を迫られる被害に遭ったことを証言した。彼女は「ここでは嫌だから、別の場所で」と、ノースを説得しその場から逃れたという。その後も、ノースから誘いの連絡が来たが、彼女は返信しなかったそう。

 さらに、『Law & Order:犯罪心理捜査班』でノースと共演した、ゾーイ・リスター=ジョーンズも、ノースから受けた不適切とされる行為について暴露。彼女は、Instargamを通して、自身や他の女性たちに対するノースの行動は「性的に不適切」であったこと、彼は撮影現場でよく酔っ払っていたことなどについて語っている。

 
 
 
 
 
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 彼女のコメントでは、「彼は私に近づき、首の匂いを嗅いで『いい匂いだね』とささやいた」「私に起こったことは、勇敢に声をあげた他の女性たちの被害に比べたら小さなものですが、どんなレベルの出来事であっても、被害を受けた女性にとっては重荷となるのです」と、自身の経験を語るとともに、他の女性たちへの配慮を示している。

 また、『セックス・アンド・ザ・シティ』シリーズで、ノースと長年の共演者である、サラ・ジェシカ・パーカー、クリスティン・デイヴィス、シンシア・ニクソンらは、性的暴行を告発した女性たちを「支持する」共同声明をTwitterで述べた。

 クリスティン・デイヴィスの公式Twitterに投稿された共同声明では「クリス・ノースに対する告発を聞き、非常に残念に思います。私たちは、辛い経験を告白し、声をあげた女性たちを支持します。非常に困難なことであったと理解しています。行動を起こした彼女たちを称賛します」とコメントし、女性たちへの理解を示し行動を称えた。この共同声明に対しネットでは、声明を支持する声があがる一方で、「まだ真実は分からない」など非難の声もみられる。

 複数名の女性からの被害を告発されたノースは、所属事務所「A3 Artists Agency」から契約解除され、事務所の広報担当者は「クリス・ノースはもう、私たちのクライアントではありません」とコメントしている。また、所属事務所の解雇だけにとどまらず、ドラマの降板、CM配信の中止、自身のテキーラブランドの売却停止問題など、さまざまな事態が起こっている。

 CBSドラマ『The Equalizer(原題)』にウィリアム・ビショップ役として出演していたノースは降板を命じられ、CBSテレビスタジオとユニバーサル・テレビジョンは「クリス・ノースは今後『The Equalizer』の撮影に参加することはない」とコメントしている。さらに、『SATC』新シリーズとのタイアップで出演していた米フィットネス会社・ペロトン社のCMも配信中止、自身のテキーラブランド「Ambhar」をEntertainment Arts Research Inc.が買収する、約1200万ドル(約12億円)の契約も取引中止となる事態に。EARIのバーナード・ルービン(Bernard Rubin)は、「現時点では、事態の深刻さを受け止め、取引を進めるわけにはいかない」とコメントしている。

 女性による告発に対しノースは、「何年も何十年も前に出会った人物による私に対する告発は、全くの虚偽です」「このような証言は、30年前のものや、30日前のものであったとしても、ノーは常にノーを意味するわけではありません。私は一線を超えていません」「関係は同意の上でした。このような話が今となって浮上したことに疑問を感じないわけにはいきません。なぜこのようなことになったのか、確かな理由はわかりませんが、私が彼女たちを暴行していないということだけは確実です」と、証言は「完全なる虚偽」であり、「同意の上」であったことを主張している。

 『SATC』シリーズ続編となる『AND JUST LIKE THAT… / セックス・アンド・ザ・シティ新章』がアメリカでスタートして間もないタイミングでの今回の事態。真相について明らかになっていない部分はあるが、今後の展開に注目が集まっている。

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