『カムカム』未来を夢見るひなたと浮かない顔の五十嵐 大月姉弟の恋の行く末は?

『カムカム』大月姉弟の恋の行く末は?

 自分のポリシーを大切にすることと、それに固執してしまうのはまた話が違う。今の五十嵐は後者に近い。「時代劇俳優しかやらない」というポリシーにこだわり続けた結果、今さらそれを簡単には覆せないのだろうし、覆した途端これまでの自分を否定することになると勝手に思い込んでしまい意固地になってしまっているのだろう。また、もし他のジャンルで挑戦したのにそこでも花が咲かなければ、自分には何もないという現実を突きつけられてしまいかねない。それにどこかで五十嵐は、自身の才能に気がつけない周囲を嘆き、それで自分自身を見切ってしまわぬように何とか首の皮一枚で繋がっているなけなしのプライドや自尊心を失ってしまわぬように保身に走っているとも言える。

 そんな才能もお金もない、さらには当初は持ち合わせていた真っ直ぐな志さえ今は足かせになっているような“付き合いにくい”に違いない自分と、7年後のノストラダムスの大予言まで変わらずずっと一緒にいたいと願う真っ直ぐ変わらぬひなたは、今の五十嵐には耐え難い存在なのだろう。自分が信じられない自分自身のことを、誰よりも変わらず応援し続けてくれるひなたの存在に、むしろ今は自分が惨めに感じられてしまうのかもしれない。すみれにとっての榊原が間違いなく、五十嵐にとってのひなたなのに。

 「一秒でも長く文ちゃんと一緒にいたい、一緒に暮らしたい。文ちゃんは?」と言うひなたの問いかけに、五十嵐は何と答えるのか。これはもはやひなたと五十嵐の問題というよりも、五十嵐が自問自答することでしか答えが出ない問いかけだろう。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか
写真提供=NHK

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