『カムカム』未来を夢見るひなたと浮かない顔の五十嵐 大月姉弟の恋の行く末は?

『カムカム』大月姉弟の恋の行く末は?

 ノストラダムスの大予言を聞いた時に五十嵐(本郷奏多)と少しでも長く一緒にいたいと真っ先に頭に過ぎるひなた(川栄李奈)と、その弟・桃太郎(青木柚)が幼少期より変わらず小夜子(新川優愛)を想い続ける、そんな大月姉弟の恋模様が見られた『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第87話。

 たとえ地球滅亡の日を7年後に控えていたとて、もちろん日常生活は続いていく。減少の一途を辿る映画村の来場者数を増やすための案を出すよう榊原(平埜生成)に求められたひなたは、大部屋俳優の仕事にもつながるようにとお化け屋敷をやることを思いつく。『妖術七変化!隠れ里の決闘』の演出を担当した監督がこれに協力してくれることになり、オープンするなり大盛況の様子。

 しかし、これに浮かない顔を見せるのは映画『妖術七変化!隠れ里の決闘』以来、役名も台詞ももらえない日々を過ごしていた五十嵐だ。「お客さん、楽しんでたな」と声を掛けるひなたに「楽しんでた? こんなことで楽しませたって仕方ないだろ。俺は俳優だぞ」と、投げやりに答える。「こんなこと」を実現させるためにその裏にはひなたはじめ様々な人の協力と地道な努力があり、何より大部屋俳優の皆が活躍できる場を少しでも増やしたいと願うさらにその裏方の人たちの想いが込められている。そんなこと五十嵐だって頭ではわかっているだろうが、あまりに出口の見えない長いトンネルの中、自分でもどうすればいいのかわからないのだろう。いくらお化け屋敷が繁盛してお客さんに喜んでもらえても、時代劇俳優を志してこの世界に飛び込んだ自分がお化け役に扮しているこの状況に、ほとほと嫌気が差しているようだ。

 そういえば、かつてのすみれ(安達祐実)がテレビでも映画の仕事でもない映画村のショーの仕事を「誰も見てない」と投げ出そうとした時に言った榊原の言葉がふと思い出される。

「僕が見てます! 僕がちゃんと見てますから!」

 すみれは“ここが正念場”というタイミングで榊原含め周囲のサポートに恵まれたおかげで、どうにか気持ちを立て直し、人気テレビシリーズ『茶道家 水無月ぼたんの事件簿』で看板女優の座に返り咲くことができた。そのチャンスを、チャンスとは思えぬ機会をモノにできるかどうかは自分の心持ち次第だし、まずは選り好みせず「やってみること」だろう。本人としては脇道や遠回りだと思ったことが、実は近道になったり、そこで新たな可能性に出会うことだって多々ある。

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