『カムカムエヴリバディ』上白石萌音×深津絵里×川栄李奈、ヒロイン三者三様の恋模様
三代続くヒロインの人生を綴る『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)。安子(上白石萌音)、るい(深津絵里)、そしてひなた(川栄李奈)は、将来結ばれる相手とどのように出会い、どんなふうに恋に落ちたのか。三者三様の恋模様を振り返ってみよう。
初代ヒロインの安子は、和菓子屋「たちばな」で店番をしている時に買い物に訪れた稔(松村北斗)と初めて出会った。稔が幼なじみの勇(村上虹郎)の兄とは知らないまま、英語が堪能な稔からラジオの英会話講座について教わり、英語学習に興味を持つようになる安子。後日、テキストを買いに本屋に赴くと、なんとそこで稔と再会。これはもう運命だと思わずにはいられない恋の始まりだ。
安子は優しい王子様のような稔と惹かれ合い、遠距離となっても文通を続け、稔の母に反対されても恋を成就させ、稔と結婚した。戦争が2人を引き裂くという残酷な結果となってしまったが、安子の恋はまるで少女漫画のような初々しさに満ちていた。安子が恋に落ちた瞬間は、今思い出してもキュンとせずにはいられない。
二代目ヒロインのるいは、小・中・高校と幸せな子供時代を送れなかった環境から、大きな幸せを求めない女の子として育つ。本が大好きなるいは想像を膨らませるのが得意で、妄想世界に浸ることがよくあった。竹村クリーニング店で働くようになり、洗濯物を出しに来た片桐(風間俊介)と自分の“物語”を頭の中で思い描いたるい。恋に落ちたかと思ったのも束の間、るいの本当の相手はその後に出会うことになる錠一郎(オダギリジョー)だった。
錠一郎を“宇宙人”だとイメージし、大量の洗濯物についた食べこぼしのシミから空想を膨らませるるい。実際にホットドッグのケチャップをこぼすところを目撃してからは、「この人の服は私が洗ってあげなければ」という使命感が芽生え、錠一郎の世話を焼くうちに気づいたら恋に落ちていた。るいの恋は、一目惚れでもなければ、劇的な展開で燃え上がったわけでもないが、錠一郎に「必要とされている」ことが何よりもるいの気持ちを動かしたのではないだろうか。錠一郎がトランペットを吹けなくなった時は、たっぷりの愛情で彼を包み込み、殻に閉じこもってしまった錠一郎の心を再び開かせたるい。るいの恋は、2人が最も必要としていた“家族”へとつながる階段だったのだ。