林遣都になら騙されてもいい! 『愛しい嘘』のラブサスペンスを成立させた巧みな演技力

林遣都、『愛しい嘘』で見せた巧みな演技力

 波瑠主演のドラマ『愛しい嘘〜優しい闇〜』(テレビ朝日系)が、3月4日に最終回を迎える。本作は、中学卒業から14年ぶりに開催された同窓会が“恋”と“悲劇”を招くラブサスペンス。その“ラブ”と“サスペンス”の両方を本格たらしめているのが、俳優・林遣都だ。

 幼い頃からの夢を叶えて漫画家としてデビューするも、鳴かず飛ばずの日々を送っていた主人公・今井望緒(波瑠)の前に現れた初恋の相手・雨宮秀一(林遣都)。同窓会から始まった「同級生“連続不審死”事件」と並行し、二人の恋は加速していく。しかし、“雨宮秀一”を名乗るその男は、中学の途中で転校した同級生の“中野幸”だった。

 両親から虐待を受けて育った中野は、全てを終わらせるために自宅を放火。だが、その現場を撮影していた雨宮から脅され、大人になってからも奴隷のような扱いを受けていた。一方、雨宮からのDVで自殺した恋人の兄・古堀和也(木村了)と協力し、中野は雨宮を監禁。整形手術を受け、“雨宮秀一”として生きる覚悟を決めたのだ。

 つまり林遣都は、雨宮と中野の二役を一人で演じていることになる。紳士的な態度で人を騙し、裏では暴力でねじ伏せる卑劣な一面を持った雨宮と、望緒が描いた優しいタッチの似顔絵に涙を浮かべるようなピュアで繊細な心を持った中野。二人は対照的な性格だったが、中野は整形で雨宮と同じ外見になっただけではなく、自身の過去を清算するため、間接的に奈々江(新川優愛)と優美(黒川智花)の命を奪い、皮肉にも中身まで自分の運命を狂わせた男に近づいてしまった。

愛しい嘘

 それでも完全な悪になりきれない、中野が本来持つ心の温かさを滲ませる林遣都の演技が印象的だ。雨宮の瞳は感情など宿っていないかのように冷たいが、全ての嘘が明るみになってもなお、望緒を見つめる中野の瞳は言葉よりも雄弁に“愛しい”と語る。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる