林遣都、“一人二役”で別人の演じ分け 『愛しい嘘』セミファイナルの見事なタイトル回収

『愛しい嘘』林遣都、一人二役の演じ分け

 “雨宮秀一”を名乗る男(林遣都)は全くの別人だった。望緒(波瑠)に偽物だと気づかれ、姿を消したその男は一体誰なのか。『愛しい嘘~優しい闇~』(テレビ朝日系)第7話では、最終回を目前に「同級生連続“不審死”事件」の謎がすべて明らかとなる。

 前回に引き続き、事件の真相を解く鍵は望緒の曖昧な記憶の中にあった。

「望緒の絵ってさ、線が優しくて心があったかくなるんだ」

 偽物の雨宮が呟いたその言葉に聞き覚えがあった望緒は以前、まったく同じ台詞を誰かが言ってくれたことを思い出す。それは黒幕の可能性が極めて濃厚な中学の同級生・中野幸であり、雨宮を名乗っていた男の正体だった。

 真実と向き合う覚悟をした望緒は、雨宮の母・サユリ(高橋ひとみ)が入所する施設で中野と再会。一つの嘘が七つの嘘を生むように、一つの闇はいくつもの闇を生んでいく。今回の事件はそんな闇の連鎖が引き起こしたものであることを中野の話から望緒は知る。

 すべてのきっかけは14年前に起きた中野の自宅火災。稜(溝端淳平)や玲子(本仮屋ユイカ)は自分たちが夏祭りの日に打ち上げた花火が原因だと思い込んでいたが、実は虐待を受けていた中野が両親を殺害し、自身も後を追うつもりで放火したのだ。しかし、その様子を密かに携帯で撮影していた同級生の雨宮に中野は大人になってからも脅され続けていた。

 表向きは優等生で、誰に対しても分け隔てなく優しかった雨宮。望緒の初恋の相手でもあるが、彼は暴力で人を支配するとんでもない顔を持っていた。長らく奴隷同然の扱いに耐え続けていた中野も、加速の一途をたどる雨宮の悪事にとうとう目をつぶることができなくなる。中野は雨宮から暴力を受け、自殺に追い込まれた恋人の兄・古堀和也(木村了)と結託。廃墟となった倉庫に雨宮を監禁し、自身は整形によって“雨宮秀一”になりすましていた。

 あとは雨宮がタイムカプセルに埋めた携帯を見つけ、動画を削除すればすべてが終わるはずだったが、そのために開いた同窓会がさらなる悲劇を生むことに。奈々江(新川優愛)と優美(黒川智花)がみんなの人気者だった“雨宮”を自分のものにしようと行動した結果、命を落としてしまったのだ。自業自得といえばそれまでかもしれないが、元々は中野がついた嘘が原因。真実を知った望緒は大切な友人の命を間接的に奪った中野を許せない一方、これまで“雨宮”として接してきた彼は単に自分を利用しているだけとは思えなかった。

 そんな望緒に、中野は「君は僕のために動いてくれそうだったから」と酷い言葉を投げかける。でもそれはきっと、望緒が心置きなく自分を憎めるようについた中野なりの“愛しい嘘”なのだろう。なぜなら望緒を見つめる中野の表情は、卑劣な雨宮と違って驚くほどに穏やかだからだ。

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