『39歳』“誰にでも起こりうる”物語の展開に引き込まれる 主人公3人に重ねて見る人生

『39歳』は誰にでも起こりうる物語

 “まだ30代”、“もうすぐ40代”。39歳の捉え方は人それぞれだ。けれども、死んでしまうにはあまりにも早すぎる年齢だ。私たちは、いつかは死ぬことも明日突然死ぬ可能性があることも知っている。それでも、どこか他人事のように思っている、まだまだそんな年頃であるのは確かだ。

 18歳で出会い、39歳の今日まで友情を育んできた3人の誰かがいなくなるなんて、誰が想像できただろう。主演を務めるソン・イェジン、チョン・ミド、キム・ジヒョンのキャスティングが話題になり、配信前から期待値が高かったNetflixで配信中の韓国ドラマ『39歳』。華やかな彼女たちは別世界の人にも感じるが、“誰にでも起こりうる”展開が、物語に引き込まれるきっかけとなる。

 皮膚科開業医のチャ・ミジョ(ソン・イェジン)、演技指導者のチョン・チャニョン(チョン・ミド)、化粧品セールスマネージャーのチャン・ジュヒ(キム・ジヒョン)の出会いはお互いに印象がよいものではなかったが、友人歴は20年を迎えようとしている。「気づいたらずっと一緒にいるよね」。長く続く友人とはそんなものだ。特別な理由などいらないのである。これだけぼ月日を共にすれば、全員の恋愛経験を熟知し、好みだって恋人より何倍も知っている。“男は一瞬、ダチ一生”という言葉があるように、友達は永遠で、別れる時は年老いて死ぬ時だろうと誰もがそう思っている。

 「40だけど何も変わらない」とミジョが呟いた言葉に、年齢関係なく頷いた人もいたのではないだろうか。なぜなら、20歳になった時も30歳になった時も、同じ感想を繰り返して今日に至るからだ。明らかに経済的に自立して、社会的立ち位置など取り巻く環境は少しずつ変化している。その反面、夜遅くの食事は罪悪感を抱かないために炭水化物かお酒かのどちらかを選択しなければならなくなったとか、目に見える小さい変化の方が気づきやすい。

 とはいえ、世間からは“いい大人”と認識される年齢なのは否めない。それに年齢を重ねた分、経験値を上げてしまったせいか、誰が決めたのかも分からない正しい道に進もうとしてしまう。それゆえ、“たられば”話を口にしてしまうのだ。例えば、チャニョンは元カレで妻子持ちのキム・ジンソク(イ・ムセン)との関係を「あの時留学に一緒に行っていれば(私と結婚してたのに)」と一生引きずっている。一方、ミジョは「あの時ジンソクをチャニョンに会わせてなければ(チャニョンに苦しい思いをさせなくて済んだのに)」と悔いている。だからこそ、3人の関係のようにプライベートなど関係なく踏み込んでくる突破口が必要なのかもしれない。お互いの人生に小言を言い合って、自分のことよりも心配して本気で怒ってくれる。時にうっとうしくも、ありがたくもある存在。タバコの禁断症状のようにジンソクを諦めきれないチャニョンに「別れろ」とはっきり言えるのはミジョしかいない。

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