初登場2位『ウエスト・サイド・ストーリー』 ミュージカル映画は時代遅れか? 不滅か?

ミュージカル映画は時代遅れか? 不滅か?

 同じディズニー配給作品として、期待されていたほどの結果が出なかった『ウエスト・サイド・ストーリー』の一方で、先週の本コラム(参考:アカデミー賞有力候補となった『ドライブ・マイ・カー』を興収視点で考える)でも取り上げたようにディズニーはミュージカルのアニメーション作品『ミラベルと魔法だらけの家』で世界的なブームを巻き起こしている。そして、そのブームを牽引しているのが、ビルボードのシングル、アルバム、グローバルチャートの主要3部門で1位を独占しているプエルトリコ系アメリカ人リン=マニュエル・ミランダ作曲による楽曲の数々だ。リン=マニュエル・ミランダは先述した『イン・ザ・ハイツ』のオリジナル舞台を手がけ、その次作となった舞台『ハミルトン』で世界的にセンセーションを巻き起こし、昨年Netflix映画『tick, tick... BOOM!:チック、チック…ブーン!』(本作は厳密にはミュージカル映画ではなく、ミュージカル作家ジョナサン・ラーソンを描いた「ミュージカルについての映画」だが)で映画監督デビューも果たしている。

 『ウエスト・サイド・ストーリー』のオリジナルの舞台、及び映画化作品は、1950年代〜60年代という時代において先駆的にプエルトリコ系移民の問題を取り上げた作品だったが、そのプエルトリコ系移民のファミリーから次の世紀を代表する天才ミュージカル作家が現れたわけだ。リン=マニュエル・ミランダが最前線で活躍している限り、ミュージカルという表現が古びたものになることはないだろう。

■公開情報
『ウエスト・サイド・ストーリー』
全国公開中
製作:監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:トニー・クシュナー
作曲:レナード・バーンスタイン
作詞:スティーヴン・ソンドハイム
振付:ジャスティン・ペック
指揮:グスターボ・ドゥダメル
出演:アンセル・エルゴート、レイチェル・ゼグラー、アリアナ・デボーズ、マイク・ファイスト、デヴィッド・アルヴァレス、リタ・モレノ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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