2021年興収の8割は日本映画 実写年間1位は嵐のライブ作品

2021年興収の8割は日本映画

 先週末の動員ランキングは、1月22日(土)から始まった入場者プレゼント第2弾も後押しとなって、『劇場版 呪術廻戦 0』が土日2日間で動員28万8000人、興収4億900万円をあげて3週間ぶりに1位に返り咲いた。2位は前週1位の『コンフィデンスマンJP 英雄編』で、土日2日間の動員21万5000人、興収3億1000万円。3位は前週から3位をキープした『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で、土日2日間の動員16万人、興収2億5400万円。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は公開から1月23日(日)までの17日間で動員202万9613人、興収30億8644万3080円を記録。外国映画の興収が30億円を超えるのは、2021年8月に公開された『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』以来、実に約半年ぶりのこと。さらにその前となると、2020年1月に公開された『パラサイト 半地下の家族』まで遡らなくてはいけない。

 日本映画製作者連盟(映連)は1月25日、「2021年(令和3年)日本映画産業統計」を発表した。同資料によると、2021年に国内で上映された映画の興行収入は1618億9300万円で、コロナ禍によって統計開始以降の最低記録となった2020年の約113%となった。この数字だけを取り出すと前向きにとらえることもできるが、過去最高を記録した2019年の2611億円に比べると、まだその約62%に過ぎない。また、昨年から全体で13%回復している一方で、外国映画に限っていうと98.7%と2020年からさらに減少しているのだ。本コラムで再三取り上げてきたディズニーの配信シフトがいかに重大な出来事であったかが、数字で証明されたかたちだ。興行収入の構成比は遂に日本映画が79.3%、外国映画が20.7%に。ざっくり言うなら、この国の映画興行は約8割が日本映画ということになった。第二次世界大戦中の映画興行のデータがあればあるいはそれ以来となるのかもしれないが、言うまでもなく、これは統計開始以降では過去最高のシェアとなる。

 3週前の本コラム(参考:2021年公開作品、影のトップは『劇場版 呪術廻戦 0』、影の6位は嵐のライブフィルム)では、映連の統計における『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』の扱いについての懸念をしていたが、少しでも数字を嵩上げしておきたかったからだろうか、結果的にはODS(非映画デジタルコンテンツ)作品ではなく通常の作品として統計に計上された(『滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie』と『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』も同様の扱いとなった)。

 その結果、興収45.5億円をあげて現在もまだ公開中の『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』は年間4位、実写作品としては年間1位作品となった。つまり、日本の映画興行は8割が日本映画。2021年は上から順にアニメ、アニメ、アニメ、嵐。外国映画でトップ10に入ったのはワイスピ1本だけ。好むと好まざるとにかかわらず、これが現在の「日本の映画館を取り巻く環境」である。

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