新垣結衣、『鎌倉殿の13人』八重役で見せる今までにない“強さ”　物語の前半戦を牽引

　夫から戦が始まるから伊東の館へ移るように言われても動かず、「父上のお指図です」と促されても「勝てますか？　勝ってもらわねば困りますよ。北条は強いですよ」と、八重は江間を家人としか接しない。

　江間が「北条らが大庭勢と戦っている間に、我が伊東勢が背後を攻め、挟み撃ちに。勝ちます」と作戦を明かしたことで八重は「舟を出しなさい」と命令。「佐殿（頼朝）にお伝えしなければ。佐殿をお助けするのです」と急かす八重に「私はあなたの夫だ」「侮るな」と空しく主張するも、八重の心には全く響かない。涙ぐみながら舟を漕ぐ夫に「ひどい女だということは分かっています。いくらでも憎みなさい」と毅然とした態度を崩さず八重は頼朝を助けたい一心で北条の館へと向かう。

　結局、頼朝らは出発した後で作戦を伝えることはできず悲嘆にくれる八重。八重もつらいが、敵であり、妻の愛する頼朝を救う手伝いをしなければならない夫もかなりつらい。SNSでも夫である江間次郎への同情のコメントが話題になった。

　伊東祐親の娘として伊東家を守りたい気持ちと、頼朝への思いを断ち切れない強い愛情と、千鶴丸の悲劇と、抗えない時代の流れに時として八重の言動は矛盾をはらむことがある。彼女の矛盾は大切な人を守りたい心から生じるものであって、八重自身でもどうすればその大切な人を守ることができるのか正解を持っているわけではないのだ。身内同士で戦が始まり、その混乱に巻き込まれながらも愛する人を守ろうとする八重。ドラマチックでミステリアスな八重の人生を新垣結衣がどう表現していくのか。

■放送情報
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、毎週日曜20:00～放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00～放送
主演：小栗旬
脚本：三谷幸喜
制作統括：清水拓哉、尾崎裕和
演出：吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー：長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供＝NHK