『鎌倉殿の13人』片岡愛之助の宗時をまだ観たかった 義時に明かした底知れぬ野望

片岡愛之助の宗時をまだ観たかった

 『鎌倉殿の13人』(NHK総合)第5回「兄との約束」。源頼朝(大泉洋)は、山木兼隆(木原勝利)と堤信遠(吉見一豊)との戦に勝利する。頼朝はこれをもって坂東の政を行うと公言した。それを知った平家方は激怒。相模では大庭景親(國村隼)が梶原景時(中村獅童)ら三千の兵を率いて出陣し、伊豆でも頼朝討伐に燃える伊東祐親(浅野和之)が動く。

 第5回は、なんと言っても片岡愛之助演じる北条宗時に魅了される回だった。

 まず目に飛び込んできたのは、宗時の勇ましさである。堤館を襲撃した際、義時(小栗旬)は信遠のとどめを刺すのに手こずった。そこへ宗時がやってきて信遠の心臓を突き刺す。闇夜に宗時の雄々しい表情が浮かび上がる。目を見開き、慄く義時とは違い、宗時は事が終わると山木館を襲撃するため、すぐにその場を立ち去った。第4回で宗時は、戦を前に緊張する義時に対して「案ずるな。俺も怖い」と声をかけており、その時は弟の緊張をほぐす優しい兄の顔をしていた。しかし第5回で見せた信遠を討つ顔は、戦に慣れた猛々しいものだった。

 大庭と伊東が動き出し、対する頼朝は全軍を率いて鎌倉を目指すことになる。義時は宗時から呼び止められ、政子(小池栄子)たちを安全な伊豆山権現へ送り届ける役目を任された。頼朝に付き添う宗時の身を案じる義時に、宗時は「案ずるな。俺は戦うために生まれてきた男さ」と目を細めて笑いかけた。愛之助の頼もしい口ぶりと優しい微笑みには、年長者らしい心遣いが感じられる。

 大庭と伊東との戦いで頼朝軍は大敗を喫した。頼朝を守りながら山中に逃げ込んだ義時だが、戦い慣れていない義時は窮地に陥る。そんな義時を救うのはやはり宗時だ。躊躇いなく敵を貫き、腰が抜けた義時を立たせる。

 山中での戦い、そして洞窟内で身を潜めている時のシーンでは、宗時の冷静な立ち振る舞いが強く印象に残る。「北条を頼ったのが間違いであったわ!」と怒りをあらわにする頼朝を横目に、時政と義時を呼ぶと、甲斐の武田信義に援軍を頼むよう勧める。これまでの回では頼朝に心酔しているようにも見えた宗時の言動だが、この時ばかりは何かが少し違った。その理由は物語終盤に明かされる。

 頼朝の観音像を取りに行くため北条家の館に戻る宗時は、義時に本心を明かした。

「俺はな、実は平家とか源氏とかそんなことどうでもいいんだ」
「俺はこの坂東を俺たちだけのものにしたいんだ」
「坂東武者の世をつくる。そしてそのてっぺんに北条が立つ。そのためには源氏の力がいるんだ。頼朝の力がどうしてもな」

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