オダギリジョー、なぜ初朝ドラは今だった? 『カムカム』は改めて絶頂なタイミングに

オダギリジョー、なぜ初朝ドラは今だった?

 NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で、2代目ヒロイン・るい(深津絵里)の夫である大月錠一郎を演じるオダギリジョー。若きトランペッターとしてジャズ喫茶で活躍していた頃から、不思議な魅力を放つ彼には多くの視聴者が注目していただろう。まもなく46歳をむかえるオダギリジョーにとって今回の朝ドラは初出演。キャリアもあり、実力も折り紙付きのオダギリジョーがなぜ今まで朝ドラを経験していなかったのか驚きが隠せない。

 オダギリジョーが2000年に出演していた『仮面ライダー』シリーズ(テレビ朝日系)と、現在出演中の朝ドラは、どちらも若手俳優にとってブレイクのための登竜門になっている。今をときめく俳優たちのキャリアを振り返れば、両ドラマに立て続けに出演を果たした者は少なくない。

 菅田将暉は2009年に『仮面ライダーW』(テレビ朝日系)の主人公・フィリップ/仮面ライダーW役を演じ、2014年には朝ドラ『ごちそうさん』(NHK総合)に西門泰介役で出演。また、2011年に『仮面ライダーフォーゼ』』(テレビ朝日系)で朔田流星/仮面ライダーメテオを演じた吉沢亮は、2019年にヒロインの幼なじみの山田天陽役で朝ドラ『なつぞら』(NHK総合)に出演する。瀬戸康史、竹内涼真、福士蒼汰、磯村勇斗なども、30歳前に『仮面ライダー』シリーズと朝ドラへの出演を果たしている。一方のオダギリジョーは『仮面ライダークウガ』(テレビ朝日系)から『カムカムエヴリバディ』出演までに22年もの歳月が流れており、仮面ライダーシリーズから間を置かずして朝ドラ出演という、いわゆる“王道”の流れとは異なるキャリアで俳優としての道を切り拓いてきた。

 1980年代から2000年代初頭にかけてミニシアターが全盛期であった時代に、オダギリジョーは個性派俳優として頭角を現す。彼が持つファッショナブルで粋な雰囲気は大きく光ることに。初主演作『アカルイミライ』(2003年)は第56回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品され、彼自身も日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞を受賞。翌年11月に公開された『血と骨』(2004年)では、限られた出演時間にして主人公のビートたけしに負けず劣らずの存在感を見せ、2005年の日本アカデミー賞最優秀助演男優賞をはじめとする助演男優賞を総なめに。その傍ら、キム・ギドク監督の『悲夢』(2008年)など、海外の名だたる監督の作品にも積極的に参加し、世界にも名を広げていくなど、オダギリジョーならではのスタイルでアプローチしてきた。インディーズから、タイトルを挙げれば誰もがわかるようなメジャーまで、幅広い作品でカメラの前に立ち続けてきたのだ。そして今、満を持しての朝ドラ出演なのである。

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