『カムカムエヴリバディ』ひなたが侍好きになった理由 大月家はるいが選んだ幸せの形
「はー、どないしよう。終わらへん!」
夏休みが終わり、山のような宿題を前に、ひなた(新津ちせ)はすっかりお手上げ状態。『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第64話では、大月家の家族の姿が描かれた。
ひなたは錠一郎(オダギリジョー)に宿題を手伝ってもらおうとする。しかし、絵日記はピカソのようになってしまい、小学校の算数もなんだかあやしい。戦災孤児だった錠一郎は学校に行けなかったため仕方ないのだが、そんな事情を知らないひなたは、父にかんしゃくをぶつけてしまう。見かねたるい(深津絵里)が「あんた、それでええ思てんの?」と聞く。「宿題せんと、遊びほうけて。テレビ見て、チャンバラばっかりして」。同じことを繰り返して反省のない娘に「もう宿題なんかせんでええ。そのまま学校行って、先生に絞られなさい」と灸をすえた。
日なたの道にも曇りや雨の日はある。母に叱られて気落ちしたものの、ふだんは元気いっぱいな10歳の横で、どうしても気になってしまうのはるいと錠一郎のその後だ。回転焼き屋の商売はうまくいっているようだが、錠一郎に働いている形跡はなく、視聴者の間にも懸念が広がっていた。その懸念はひなたの証言で裏付けられる。「お母ちゃんが回転焼き焼いて、お父ちゃんは家にいてるのに仕事してへん。幼稚園の頃はそれでようからかわれた」。トランペットが吹けない病気は治っておらず、といって他に何ができるわけでもない錠一郎の日常は、ラジオ体操に出たり、たまに店番をするくらい。「武士は食わねど高楊枝」ではないが、錠一郎自身も気にする素振りを見せず、静かに妻と娘を見守っている。