『逃亡医F』成田凌、ドラマ史の新たな“名医”として活躍 安田顕、前田敦子らが怪しい?

『逃亡医F』成田凌がドラマ史の新たな名医に

 1月期土曜ドラマ『逃亡医F』(日本テレビ系)がスタートした。主人公は、恋人・妙子(桜庭ななみ)の殺害容疑をかけられ逃亡した、天才脳外科医・藤木圭介(成田凌)。事件の詳細もそこそこに、髪型を変えた藤木が「成海健介」と名乗り、海洋観測船にアルバイトとして乗り込むところから物語は始まる。

 スケールの大きな撮影だ。第1話は船の上、次回予告は雪山。追跡から逃れるには過酷な道を行くほうが安全だが、そうした場所には医療資源が少ない。限られた環境のなか、天才脳外科医がその腕と頭脳をもって命を救う。

 てっきり、しばらく船にとどまっていくものと思っていたのだが、展開の早さに驚いた。藤木が指名手配犯であることはすんなりと発覚。事実を知った者たちはオペを止めようとするが、藤木の天才的な医療技術は、まるで『水戸黄門』の印籠だ。「何か大きな力が関わっている」という藤木の言葉通り、物語の軸には陰鬱とした謎を抱えながらも、シンプルで分かりやすい作品である。

 そして、妙子をただひたすらに信じる兄・拓郎(松岡昌宏)と、藤木の「光る手」を信じた美香子(森七菜)の本能と直感が、実にカラッとした感触を放つ。冒頭から荒れ狂っていた拓郎だが、回想シーンで見せた優しすぎるほどの笑顔が印象的だった。このとき、成海と拓郎は初めて顔を合わせ、はからずも妙子に贈った腕時計ーー互いの妙子への愛情を身に着け合うことになる。「私のことを思ってくれるなら、ずっと着けててね」という言葉どおり妙子を思うからこそ、こんなときでも互いの腕には時計が着けられたままだ。

 「誰でもできる簡単な仕事」と美香子が言う、船での仕事に藤木は苦戦していた。それは小さな身体で奮闘する美香子も同じで、「性別は関係ない。お前が一番、腕力がないからだ」という事実のもと、船上ではなくデータ入力の仕事を任されることになる。パソコンのそばにあった指名手配書を見つけ、藤木の正体に勘づいた美香子。「信じてください」という藤木の言葉を一度は突っぱねるが、無抵抗を示すべく見せた「きれいな手」に、心が揺れる。

 「信じたわけじゃないけど、信じたいわけはあった」という、美香子のモノローグ。のちほど明かされるが、美香子が藤木の手をやたらと気にしていた理由は、船に乗るきっかけでもある父にあった。藤木のきれいな手は、亡くなった父の手に似ている。グローブのように大きくて、なんでもできる大好きだった手と、手は「磨き込まれて光るようになる」いう父の言葉。だから藤木の手は、きっとたくさんの人を救ってきた手なのだろうと、美香子はその手を信じた。

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