成田凌×行定勲監督『窮鼠はチーズの夢を見る』対談 「恋をするってこういうことなのかな」

成田凌×行定勲監督『窮鼠はチーズの夢を見る』対談 「恋をするってこういうことなのかな」

 映画『窮鼠はチーズの夢を見る』が全国公開中だ。『ナラタージュ』『リバーズ・エッジ』『劇場』の行定勲が監督を務めた本作は、水城の漫画『窮鼠はチーズの夢を見る』『俎上の鯉は二度跳ねる』を実写映画化した人間ドラマ。

 受け身の恋愛ばかりを繰り返してきた大伴恭一(大倉忠義)は、ある日、後輩の今ヶ瀬渉(成田凌)と7年ぶりに再会する。「ずっと好きだった」という今ヶ瀬からの一途なアプローチに振り回されていくうちに、やがて恭一は胸を締め付けるほどの恋の痛みに翻弄されていく。

 リアルサウンド映画部では、恭一に想いを寄せ続ける今ヶ瀬を演じた成田凌、そして行定監督にインタビュー。公開延期を経ての現在の思い、男女で感想が全然違うという本作の醍醐味、そして恋愛観についてまで語ってもらった。

成田凌「自分の内面から勝手に変化していく」

ーー新型コロナウイルスによる公開延期を経て、ようやく公開を迎えました(参考:大倉忠義×成田凌『窮鼠はチーズの夢を見る』9月11日公開決定 行定勲監督「今から興奮しています」)。

成田凌(以下、成田):「ああ、やっと」という感じですね。すごく楽しみです。いろいろなことが起きて、みんなが悩みながら生きていると思うので、この作品が少しでもそういう人たちの助けになったら嬉しいです。

行定勲(以下、行定):ほっとしています。映画は、追い詰められたときにこそ力を発揮するものだと考えています。本作が救いになるかどうかは作品、観る人次第だと思うんですが、この映画を観たときに、自分の選択ひとつひとつが、すごく重要なものなんだと感じてくれたら嬉しいです。この映画の中では、自身の想像を超えたものと向き合うことになった恭一が、ある選択をする。その恭一の姿は、きっと心に刺さるものがあると思います。

ーー成田さんはそんな恭一に想いを寄せる今ヶ瀬を演じていますが、演じるにあたって意識しようと思った部分はありますか?

成田:意識はするんですが、それ以前に自分の内面から勝手に変化していくんですよね。徐々に、今ヶ瀬と対峙していくにつれて。僕は、演じている人間の中にたくさんのキャラクターがあるといつも思っているんですが、一方で当然、1人の人物を演じていると、何か一貫して持っているものが絶対に浮かび上がってくる。今ヶ瀬の場合、その浮かび上がってくるものに、ものすごく「熱」が欲しいなとは思ってはいました。逆に、それさえあればほかが変化しても大丈夫だと考えていたので、意識しないことの方が多かったかもしれないです。

ーー勝手に変化していく部分とは?

成田:性格や言動が柔らかくなっていくんですよ。僕ももともと、そういう風に演じたいとは思っていたんですが、大倉(忠義)くんと2人のときは意識しなくてもそうなっちゃう感じがあって。「あ、恋をするってこういうことなのかな」と思いました。

ーー行定監督は、大倉さんと成田さんのキャスティングをどのように考えていたのでしょうか?

行定:成田凌という俳優が、非常に映画的なアプローチをする人だということはいろんな人から聞いていましたし、成田と話していても、今までの彼の作品を観ていても、それは感じました。映画的なアプローチをする人たちって「準備」をきっちり重んじるんですよね。いろんなことを習得したり、役を深めるためにいろんなものを見たり、聞いたり、人を観察したり……。片や大倉は、アイドルというカテゴリの中で俳優だけではなく、オールマイティに活動している。どちらかというと、彼の場合は「彼自身であること」をどれだけさらけ出せるのかが重要なんです。2人が全く違う方向性の俳優であるということは早い段階で分かっていたから、僕はそれをどう融合させるかを考えていました。さっきも成田が言っていたように、彼が今ヶ瀬のイメージを掴めたら、それはもう自動的に今ヶ瀬になっていくんですよ。だから恭一と今ヶ瀬が最も親密でいられる部屋のシーンは、完全に成田も役を掴んだであろう後半にまとめて撮ったんです。

ーーなるほど。

行定:そして、成田は自分が得た今ヶ瀬という人間の本質にある、柔らかさや可愛らしさを表現する。もともと男同士の恋愛だから、別に男らしくいたっていいわけですよね。だけど、成田の演技のすごくいいところは、普通の男をやろうとしているのに、相手に対する思慕、想いで、女性的な空気が自然に見えてくること。男本来が持っているかわいらしさが出ている。それを目の当たりにしたときに、「これはすごいね」と現場で話しました。カメラマンも思わず「かわいいな」と言ってしまうっていう。

成田:直前まで、『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』を撮っていただけに、差がすごかったんですよ(笑)。

行定:そのカメラマンは、『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』にも参加していて。

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