永瀬廉&小池徹平は通詞をどう演じた? 『わげもん』を通して得た言葉の大切さ

『わげもん』を通して学んだ大事なこと

――日本初の辞書や英和辞典などができる時代です。鎖国の時代を通して、意外な発見や面白さ、役の中で感じたことを教えてください。

永瀬:ペリー来航は教科書で習うけど、“わげもん”という、今でいう通訳者にスポットを当てた物語全体についてのことは教科書に載っていなかったので、そこ自体が僕にとっては勉強というか、新しい学びの部分でした。唐人屋敷の部分だったり、出島が気軽に立ち入れないという仕組みだったり。一つ一つを台本を読みながら学んで、いただいた資料と照らし合わせて……という作業をしていたので、新鮮な気持ちでした。

小池:ちょうどペリー来航の1年前くらいに、森山自体が書き留めていたという書物が残っているんです。ペリーが来るということを知っていたという情報があったことも、僕は全然知らなくて。この作品をやったからこそ知ることができた歴史があります。廉くんが演じた伊嶋壮多は架空の人物ではありますが、森山栄之助は実在していて、彼すごい通詞の方だったという歴史や記録などが残っていることにびっくりしつつ、感動しました。

――2人はオファーを受けた際、本作のどこに魅力を感じ、期待がありましたか?

永瀬:『わげもん』というタイトルから、「なんだこれ!」となりましたね。でも、いろいろ企画書やストーリーを読ませていただいて、「時代劇やれるんや!」という嬉しさもありました。僕自身もいろいろなところで作品に携わらせていただきたいと言っていたので、このタイミングでNHKさんの時代劇に出演できることがめちゃくちゃ嬉しくて。なおかつ、あまり知らない時代のことだったので、長崎にも興味を持ったし、物語自体ももちろんすごく面白いなと思いました。台本が来るのが毎回楽しみで、早い段階から壮多という人物像を考えてワクワクしながら読んでいましたね。自分の役柄については、父親のことを探して長崎まで行く、という行動力にまず驚かされました。なので彼を演じるうえで長崎に行ってから当初の目的であった父親探しをしつつ、いろいろな事件や壁が立ちふさがってきても、どうにかして真相を解き明かしてやろうという負けん気な部分は大事にしたいなと思いました。また、意外とセンシティブな部分もあり、そういった弱い一面も所々でちゃんと出さないといけないところは大事に演じていました。

小池:この『わげもん』という作品で一番面白いなと思ったのが、“スポット”ですよね。スポットが通詞に当たっている時代劇はなかなかない、という面白さから入りました。大体、物事を何か成し遂げた方々にスポットが当たりがちなところを、あえてその人たちを繋いだ人たち、間の人にスポットを当てている時代劇に非常に僕は興味をそそられたんです。言葉を通じて、物語が進んでいく、解決していくという話なので、やる側も難しいし、観る側もすごく難しい内容になるのかなと思いましたが、一方で非常に斬新で、面白そうだと感じました。僕がいただいた森山栄之助という役は、通詞の中でもすごい人物ですが、長崎出身なので、全編長崎弁で演じさせていただいています。日本が鎖国の中であっても、長崎だけちょっと異国の交流があって、その時代でも非常に特殊な場所だったというのが、僕ら通詞を通して伝わるんじゃないかなと。それが伝えるべき、大事なことなんじゃないかなと思いながら演じさせていただきました。

ーー最後に、第1話の魅力についてお聞かせください。

永瀬:やはりいろいろな部分で苦労もしましたし、それ以上に楽しかったのもありますが、何より、「通詞」というテーマは観ていて普通にワクワクしましたね。壮多や森山がこれからどうなっていくのか、という期待があって。第1話で壮多はこの物語で重要な人たちと出会い、言葉は通じないけど、気持ちを伝えて、それが伝わったときの嬉しさという部分に気づきます。なので、その後の、第2話、第3話、第4話とめちゃめちゃワクワクしちゃいますね。壮多と、彼の出会った人たちの関係性がどう変わり、作り上げられていくのか楽しみになると思います。

小池:一言で言えば、すごく面白かったです。ナレーションをクリス・ペプラーさんがされていて、クリスさんの声が入ると、見事にわかりやすくなっているんです。そこに画もついて、僕らが初見で読む台本よりもはるかにわかりやすい映像になっていました。おそらく、初見の方には登場人物の関係性も大事なドラマではあるので、視聴者の皆さん置き去りにしないかなという心配も少しありました。もし、皆さんにお伝えできることがあるとすれば、物語の相関図みたいなものとか、なんとなく時代背景を調べておくだけで、第1話は何倍も面白くなるんじゃないかな、と観ていて感じました。誰がどんな人なのか、細かい説明は省かれているので、そのあたりを頭に入れるだけでもっと面白くなります。

■放送情報
土曜ドラマ『わげもん~長崎通訳異聞~』
NHK総合にて、毎週土曜21:00〜21:50放送【全4話】
BS4Kでも放送予定
出演:永瀬廉(King & Prince)、小池徹平、久保田紗友、浅香航大、トラウデン都仁、平山祐介、宮川一朗太、浦浜アリサ、村雨辰剛、高嶋政宏、本田博太郎、矢島健一、石黒賢、武田鉄矢ほか
作:宮村優子
音楽:森悠也
制作統括:内田ゆき
演出:盆子原誠、梛川善郎
写真提供=NHK

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