永瀬廉&小池徹平は通詞をどう演じた? 『わげもん』を通して得た言葉の大切さ

 1月8日から1月29日までの毎週土曜21時からNHK総合「土曜ドラマ」として放送される『わげもん~長崎通訳異聞~』。主演に永瀬廉を迎えた本作は、激動の時代、幕末の国際都市・長崎を舞台に、そこで当時活躍していた通詞(つうじ)に焦点を当てて描かれる。ペリー来航まで4年をきった1849年、英語の習得が急務となるなかで江戸からやってきた伊嶋壮多(永瀬廉)は、名通詞・森山栄之助(小池徹平)と出会い、その類稀なる語学センスを活かして成長していく。

 語学習得や外交という、現代にも繋がるテーマをユニークな切り口で展開する一方で、失踪した伊嶋の父親の行方などサスペンス要素もあり、と見どころの多い本作。なにより、永瀬と小池の流暢なオランダ語、英語での演技には目を見張るものがある。今回はそんな主人公・伊嶋を演じた永瀬廉と、森山を演じた小池徹平に、制作プロセスから本作の魅力まで余すことなく話を聞いた。(アナイス(ANAIS))

オランダ語を“自分の言葉”にする難しさ

わげもん

――共演前にお互いに持っていたイメージと、共演した後に改めて発見したところは?

永瀬廉(以下、永瀬):うちのメンバーの神宮寺(勇太)と小池さんが共演していたんです。だから事前に小池さんがどんな人か聞いたら「子供の話をめちゃめちゃ嬉しそうにしていた」って言われて。いざ現場に入ってみたら、その想像を上回ってきましたね。予想以上に嬉しそうに子供の話を聞かされました(笑)。あとは、ボケとかにも突っ込んでいただいたり、小池さん自身もボケてきたり、少しやりとりが漫才みたいでした。

――それは、大阪に縁のあるお2人だからですかね?

永瀬:ですね。

――小池さんはいかがですか?

小池徹平(以下、小池):僕も廉くんと共演させていただく前に、神宮寺くんに「次一緒なんだけど、どんな人?」って聞いていたんですよ。「すごい真面目な頑張り屋さん」「僕よりはしっかりしていると思います」みたいな答えが返ってきたから、神くんも充分しっかりしているけどなぁと思っていたんですけど。それで実際にお会いしたら、まず関西弁なんですよね。「いい感じのお兄ちゃんやな」って、同じ関西人としてもすごく親しみを感じました。今回すごく大変な役ではあったと思いますが、なかでも同時期に(語学の)勉強を始めたので「大変だけど2人で頑張ろうね」と。頑張る共通点もすごく多くて、非常に親近感が湧いた印象でした。

――今回、時代劇を演じる上で、現在と繋がっていると感じた部分はありましたか?

永瀬:本作の時代の長崎は何年後かにペリー来航もありますし、それぞれの思惑や、人々が激動の時代の中を生きているという点で、今もそうだなと思います。まだコロナは収束しきっていませんが、僕ら自身もそういうものに対していろいろ生活様式も変わって、いろいろな工夫をして。同じような激動の時代を生きていくという部分は、共通していると感じました。

小池:難しい質問ですね。今回、『わげもん』で演じさせていただいた時代は、「明日にはどんな国が来るんだろう」とか、落ち着くことがない、少し不安な世の中ではあったと思います。何かが起こるたびに、何かに対して必死に対応していくという意味で、すごく明暗をわけるみたいな時代でもあった。それこそ、廉くんが言っていたように、僕らもコロナに対応して「それでも生きていかなきゃいけない」と、今を必死に生きる人の力みたいな共通項はあるのかなと感じましたね。

永瀬:あとは、何よりも“言葉”ですかね。どの時代でも、言葉で何か思いや気持ちを伝えるというところは共通して大事だなと思います。

――さきほど「現場で2人で練習された」とおっしゃっていましたが、お互いにオランダ語の練習で大変だったことは何ですか?

永瀬:いやぁ、もう、オランダ語は大変でした。変わった発音が多くて、Gの発音が少しうがいのような音なんですよ。それを現場で2人で沢山練習していて。結構うるさかったと思います(笑)。

小池:あはは!

永瀬:「どんだけ痰からんでねん!」と思われたかもしれないです、知らない人から見たら(笑)。

――小池さんはどうですか?

小池:僕自身、今回オランダ語というものを初めて聞いたに等しい状態で。あの難しい音を認識することがすごく大変でした。英語はまだ人が喋っていても英語だとわかるんですけど、オランダ語はまだ自分の脳みそが言葉として理解していないところから始まったので、その意味を理解して発するまでにすごく時間がかかったことが、一つの苦労でした。また、今回(出演の)お話をいただいてからクランクインまでの期間が全然なくて。その間にオランダ語を上手に話せるように、と本当に相当頑張りましたね。リモートでずっと先生とやりとりして、毎日オランダ語を発音して。廉くんは先ほど「現場でうるさかったんじゃないか」と言っていましたが、僕はそれを移動中や家でもずっとやっていたので、子供がオランダ語を少し喋れるようになったんじゃないかと思っています(笑)。本当に、役作りとしては今までで一番苦労したんじゃないですかね。素敵な作品ですごく楽しみにしていたので、どうしても自分の中で(この作品は)やりたいという思いが強く、期待に応えたかったんです。

――第1話を拝見して、2人ともとても流暢に話されていました。大変だっただけに、お互いのシーンをご覧になってどう感じましたか?

小池:すごいなと感じましたね。

永瀬:僕の方が感動していますよ! 最初のシーンとか、結構撮影が始まった序盤の頃に撮ったシーンで。オランダ語と日本語で、和解(わげ)していく場面だったと聞いて、「いきなりそこからなんだ」と思いました。ある程度撮影に慣れてからオランダ語なのかなと思ったら、いきなり通訳するシーンなので、小池さんの苦労が垣間見えましたね。

小池:僕、初日は英語しか喋っていないので(笑)。

永瀬:あははは! ちょっとそこにも感動しちゃいました。

小池:廉くんに関しては、やはり量ですよね。本当にちょっとしたことでもたくさん練習しないと、芝居としてやるのはすごく難しいです。ただセリフを読むのであれば、ある程度の練習でできるようになると思う。しかしそれを覚えて、自分の言葉で発するという行為に至るまでがすごく大変なんです。その点、廉くんはオランダ語のセリフ量がすごく多いので、「うわぁ! 1話からやってんな、こいつ!」って(笑)。本当に感動しました。

永瀬:(笑)

小池:台本にも、廉くんが演じる壮多のオランダ語に一同が聞き惚れる、みたいなことが書いてあったりして。なおさらそのシーンを魅せなきゃいけないじゃないですか。それを何の苦もなくやっていて……。オランダ語でNGを出したこともないし、いきなり現場でバーンとやっちゃうから、「すげえな、器用だなあ」って思いました。だって、彼こんなに忙しいんですよ? グループ活動もあるのにすごいです。

永瀬:いや、いや、いや、いや……!(笑)。頑張る仲間がこんな近くにおったからこそですよね。

――2人はそもそも学生時代、語学は得意でしたか?

永瀬:語学に関しては、高校生までは普通。でも、ノー勉で英検準2級を取ったことくらいが、僕の中のマックスでしたね。そこからは落ちる一方で。シンプルに勉強する機会もなくなって、難しかったですね。

小池:僕も、わりと普通だったかなという感じです。

――大変なことも多かったと思いますが、逆に撮影で楽しかったことはなんですか?

永瀬:琵琶湖に行ったのがとても楽しかったんです。本編に琵琶湖のシーンがあるのですが、最後の方の撮影だったので、そこでみんなでガンガンにヒーターに当たりながら、気温当てゲームをしたのが楽しかったです(笑)。

小池:先ほど、言葉が大変だったという話をしましたが、逆にオランダ語を話しながらお芝居をしたのがめちゃくちゃ楽しかったです。その準備がすごく大変だった分、芝居で演じられた時の楽しさもあり。演者さんにも、結構いろいろな国の出身の方がいらっしゃって。外国人の役者さんと、普通にオランダ語で会話してるんですよ。当たり前の光景になりすぎて忘れていたと思うけど、オランダ語で芝居してるんだよ、俺たち!

永瀬:すごいですよね。

小池:そうでしょ!? それを映像チェックとかで見たときに、「すごいことをしているな」って、改めて頑張って良かったと、少し報われるような気持ちにもなりました。本当に芝居が楽しかったです。

永瀬:あと、カツラを被るなど、本格的な時代劇への出演は初めてだったので、そういう雰囲気の中でお芝居をさせていただくという経験はめちゃめちゃ楽しかったですね。

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