エラ・パーネル×カイル・マクラクランが語る『フォールアウト』 デヴィッド・リンチ秘話も

カイル・マクラクランが語るリンチとの現場

 終末後の世界を描いた人気ゲームを実写化し、世界中で1億人以上が視聴した人気ドラマシリーズ『フォールアウト』。2025年12月17日からシーズン2の配信がPrime Videoでスタートした。クリストファー・ノーランの弟で、『ウエストワールド』などを手がけてきたジョナサン・ノーランが製作総指揮を務め、世界の終末から200年後を描く本作。シーズン1に続き、主人公ルーシーをエラ・パーネル、そしてルーシーの父ハンクをカイル・マクラクランが演じている。そんなパーネルとマクラクランの2人にインタビュー。マクラクランからはデヴィッド・リンチ監督とのエピソードも飛び出した。

『フォールアウト』は新しい道を切り拓くことができた

ーー『フォールアウト』はゲームの原作ファンからも好意的に受け止められたドラマシリーズだと思います。「成功した」と断言できると思いますが、その成功の要因はどこにあったと考えますか?

カイル・マクラクラン(以下、マクラクラン):うーん……いい質問ですね。まずはゲームの世界を時間をかけて、非常に美しい形で作り上げることができたのが大きかったと思います。そういう環境も素晴らしかったですし、本当に才能あふれる素晴らしいクリエイターたちがゲームのトーンを理解して、うまくストーリーテリングに落とし込んでくれました。バイオレンスな描写に関しても、ゲーム原作ファンの方たちに納得してもらえるレベルだったと思いますし、ゲームをプレイしたことがない人にとっても、新鮮さや驚きとともに受け入れられた。そういったあらゆるコンビネーションが全てうまくいったケースだと思います。

エラ・パーネル(以下、パーネル):カイルが言ったことに完全に同意します。そもそも“レシピ”がない作品なので、新しい道を切り拓くことができたと思います。クリエイターや脚本家はもちろん、デザイナーやヘアメイク、美術スタッフ……何千人ものスタッフがみんな超一流で、みんなが同じ方向に向かっていたのが成功の要因だと思います。

(左から)エラ・パーネル、カイル・マクラクラン

ーールーシーにとっては、冒頭で拉致されてしまった父ハンクを探す旅がシーズン1を通して描かれました。そしてラストではついにハンクと再会することができましたが、彼が“敵”だったことが判明するという衝撃の展開で幕を閉じました。

マクラクラン:本当に見事な展開だと思いました。僕自身も最初はハンクの全容を知らなかったんです。でもシーズン1のラストでハンクがああいう行動を取ったことを自分なりに理解していました。娘の前で真実を曝け出すことはハンクにとっても辛いことだったと思います。これまでの親子の関係を壊してしまうことになりますから。そして娘であるルーシーは、親が完璧な存在ではないことに気づくわけです。一方で、父である自分を探すために生き延びてくれた、娘への感謝の気持ちもハンクは持っていたと思います。

パーネル:ルーシーは絶対に諦めない性格なので、私は彼女がハンクを見つけ出すことはわかっていました。でも、脚本家は何も教えてくれないんです(笑)。シーズン1の最終話の脚本を読んだときに、ようやく答えが出てきました。私自身はハンクのことももちろんそうなのですが、お母さんのことが一番ショッキングでした。ものすごく辛い瞬間でした。お母さんの身に起きたことが、シーズン2に繋がっていくんです。

ーーシーズン1はハンクの出番がかなり少なかったですが、シーズン2はもっと出てきますよね……?

マクラクラン:ハンクの姿をもっと見ることができますよ。そこまで多くはないですけどね(笑)。

ーー『フォールアウト』はSF、ファンタジー、ホラー、人間ドラマなど、様々なジャンルがミックスされた作品ですよね。映像的にもいろいろな仕掛けがあって、撮影も大変なことがたくさんあったのではないかと想像します。

マクラクラン:もちろん肉体的にもハードなことはたくさんありましたが、僕はシーズン2の後半に出てくるシーンが最も大変だったと感じます。あまり多くは語れませんが、感情的な部分で非常に辛いシーンでした。

パーネル:6話から8話あたりですね。その辺りのエピソードは少しテイストが変わってくるんです。ルーシーがいろんな目に遭って変わっていくので、彼女の精神状態をうまく表すのが難しかったです。私は混乱しましたが、ルーシー自身も混乱しているわけなので、演じる上ではあれで良かったなと思っています。

カイル・マクラクランが回顧するデヴィッド・リンチ監督との現場

(左から)エラ・パーネル、カイル・マクラクラン

ーールーシーは信じていた人に裏切られたり、理想と現実のギャップに打ちのめされたりするわけですが、それは現実世界でもよく起きることですよね。特に俳優業はそういうことが多いのではないかと思うのですが、お二人は今までのキャリアや人生の中で、そういう出来事に直面したことはありますか?

パーネル:いい質問ですね……私は、自分の親も一人の人間なんだと気づく瞬間がありました。みんなそれぞれなんとなくそういう時期があると思うんです。私は20代のときに感じましたが、完璧だと思っていた親だって失敗はするし、誰しも年をとってくるわけですよね。それでもみんな生きるためにベストを尽くしているんだと。

マクラクラン:僕はこの業界である意味、甘やかされていたところがあったかもしれません。キャリアの初期にデヴィッド・リンチと『デューン/砂の惑星』と『ブルーベルベット』の2作品を一緒にやることができましたから。デヴィッドは監督としてはもちろん、人間としても温かく、本当に素晴らしい人でした。本当に楽しんで仕事をする人だったんです。たとえ困難があるときも、常に遊び心があって、心から楽しいと思える現場でした。それ以降のキャリアを積む中で、デヴィッドと同じような遊び心や楽しさを感じる人にも出会いましたが、時にはバトルするような人にも出会いました(笑)。当時は自分が悪いと思いましたが、成長した今ではやはり環境が大事だと感じています。だからデヴィッドのような監督の現場にいるときが、自分のベストを出せるんだと最近は強く感じています。そしてこの『フォールアウト』の現場はまさにそのような環境なんです。もちろん戦わなければいけないときもありますが(笑)。

パーネル:(笑)。『フォールアウト』の現場は本当に楽しいです。子どもの頃に戻った感覚になるんですよね。まさに遊び心あふれる現場だと思います。

■配信情報
『フォールアウト』シーズン2
Prime Videoにて独占配信中
出演:エラ・パーネル、アーロン・モーテン、ウォルトン・ゴギンズ、カイル・マクラクラン、モイセス・アリアス、フランシス・ターナー、ジャスティン・セロー、クメイル・ナンジアニ、マコーレー・カルキン
製作総指揮・クリエイター・ショーランナー:ジェニーヴァ・ロバートソン=ドウォレット、グラハム・ワグナー
製作総指揮:ジョナサン・ノーラン、リサ・ジョイ、トッド・ハワード
©Amazon MGM Studios

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