『知ってるワイフ』に続く日本リメイクの可能性も? 結婚・夫婦を描く韓国ドラマ3選

結婚・夫婦を描く韓国ドラマ3選

 現実を忘れさせ、別世界へ連れて行ってくれる“ときめき”をくれるものであり、現実のわたしたちの生活に大きな気づきも与えてくれる韓国ドラマ。中でも近年は、「結婚」や「夫婦」を描いた秀逸な作品が数多く誕生している。本記事では多大な共感性を持った、結婚・夫婦を描いた韓国ドラマ厳選3作品を紹介したい。

『夫婦の世界』

『夫婦の世界』(c)JTBC studios & Jcontentree corp All rights reserved Based upon the original series “Doctor Foster” produced by Drama Republic for the BBC, distributed by BBC Worldwide

 2019年に社会現象を起こした『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』を超え、韓国ケーブルドラマ史上歴代最高視聴率28.4%を叩き出した2020年のヒット作『夫婦の世界』。本国では、番組掲示板に270万件もの書き込みが寄せられたほどの反響が寄せられた。イギリスのヒットドラマ『女医フォスター 夫の情事、私の決断』をリメイクした本作は、イギリスBBCからも「本質を貫いた脚本、緻密な演出で完成度の高いリメイク作」※1 と高評価を受けている。

 本作は、富と名誉を手に入れ、愛する夫と息子に囲まれ順風満帆な日々を送る女医チ・ソヌ(キム・ヒエ)が、ある日夫のマフラーに1本の長い髪を見つけてしまうことから始まる妻の復讐と夫婦の心理戦を描いている。自分が信じていた世界が偽りであることを徐々に悟り、狂気と憎悪、そして悲しみに満ち溢れていく妻の吹き荒れる復讐劇は、まるでサスペンスドラマのようにスリリングで1話からグッと引き込まれる。「不倫ドラマ」と聞くと、どうしても昼ドラ的ドロドロ展開を想像しがちだが、本作の最大の魅力は、「不倫」の裏面にある夫婦関係に焦点を合わせ、夫婦や家族の本質を捉えている点だ。様々な夫婦やカップルを通じて、夫婦が抱えている理性的、論理的に説明できない情や執着心、葛藤といった複雑な感情を描き出している。ソヌやダギョン(ハン・ソヒ)をはじめ、登場する全ての女性たちが、傷つき、もがきながらも自らの生き方や幸せを模索する姿には思わず涙が溢れてしまうだろう。

 本作は、夫婦の概念について絶えず問いかけ、結婚は「愛の完成図」ではなく通過点であることを痛感させる不倫ドラマの新しい境地を開いた。

『18アゲイン』

『18アゲイン』(JTBC公式サイトより)

 2009年にアメリカで公開されたコメディ映画『セブンティーン・アゲイン』が原作となっている『18アゲイン』は、離婚間近のデヨン(ユン・サンヒョン)が、18歳の外見に戻ることで人生の選択と後悔について振り返り、夫婦の絆、家族の大切さに気づいていくファンタジードラマ。物語はデヨン(イ・ドヒョン)とダジョン(ハン・ソウン) の初恋から始まる。当時、バスケットボール韓国代表を目指すスター選手だったデヨンは大きな試合を控えて、ダジョンから妊娠のニュースを聞く。夢を諦め双子の親としての生活を選んだ若き2人は、生活に追われ、社会からは認められず、お互いを恨み夫婦間の溝が深まってしまう。そして月日は過ぎ、デヨンは妻ダジョン(キム・ハヌル)に離婚を要求されてしまう。自暴自棄になりボールを投げていると突然の停電と共に18歳の姿に戻っていたー。

 「もう一度人生をやり直せるならどうするだろう」誰もが一度は考えたことがあるのではないだろうか。『知ってるワイフ』や『ゴーバック夫婦』などとも通じる“振り返りドラマ”である本作だが、異なるのは過去にタイムスリップするわけではなく18歳の姿で現在を生きているという点だ。過去をやり直すのではなく、別人の高校生ウヨン(イ・ドヒョン)として現在の妻、子供たち、さらには親と向き合っていく。愛し合い共に生きていこうと誓った夫婦は、いつの間にか生活の一部として“当たり前”の存在となり、その大切さを忘れてしまう。大切な人であるからこそ心配をかけたくない。輝いている面を一番よく覚えてくれている人だからこそ、記憶の中にあるそのままの「私」を残したい……。小さな誤解は蓄積し、最終的にはお互いの大きな傷につながる可能性がある。今この巻き戻せない大切な瞬間、そばにいる人々とかけがえない日常を幸せに過ごすこと。それが人生にとって重要であり、何にも変えられないことを黙々と伝えた。

 本作ではイ・ドヒョンが「百想芸術大賞」新人賞を受賞。『Sweet Home -俺と世界の絶望-』、『怪物』、『五月の青春』など数々の話題作に出演し、まさに今飛ぶ鳥を落とす勢いでスターの階段を駆け上っている。外見は18歳の高校生だが、愛する子供たちを想い涙を浮かべる姿は、「父親」そのもの。娘が初めて「お父さん」と呼んだ日、声を震わせた演技が今でも脳裏に焼き付くほど、底知れぬ可能性を示した熱演は見逃せない。

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