松下洸平が『最愛』で全うした大輝との時間 第1話の独白から涙で物語ったラストまで

松下洸平が涙で物語った大輝の「最愛」

 多くの人に愛され、多くの人が幸せな結末を願った金曜ドラマ『最愛』(TBS系)がとうとう最終話を迎えた。これまで解決されていなかった謎が一気に解き明かされ、衝撃と喪失感とカタルシスがないまぜに押し寄せるラストに複雑な気持ちを抱えた視聴者も多かっただろう。しかし噛み締めれば噛み締めるほど、『最愛』というタイトルの意味が心に響く。そんなドラマの中で、ひときわ光る存在感を見せたのが宮崎大輝役の松下洸平だ。心が痛くなるほどの愛がこもった最終話での芝居と、大輝の名シーンを振り返っていきたい。

 覚えているだろうか。物語は大輝の独白から始まった。「もし遠くへ行ったとしても、側にはいられないとしても、その人が胸の中から消え去ることはない」と。最愛の女性(ひと)に向けたその想いは、ノスタルジックなメロディとともに視聴者をこの物語へといざなった。そして私たちは数々の痛ましい事件を目の当たりにし、苦しいほどの愛と向き合うことになる。大輝が朝宮梨央(後に真田梨央/吉高由里子)を真っ直ぐ愛し、また梨央も大輝を思い続けてきたことを含め、この作品には様々な形の「愛」が複雑に絡み合っていたのだ。そんな大輝と梨央がふたりきりになると口をついて出る岐阜弁は、まるでふたりにとって秘密の合図のよう。回想シーンと現在とを行き来するこの物語の中で、ほんの一瞬にして昔の暖かさを取り戻すふたりの距離感に何度救われただろうか。どうか、この幸せな時間だけは、ゆっくりと進んでいってほしいと願ったものだ。

 また最終話では、橘しおり(田中みな実)の葬儀のあとに、ふたりが肩を並べて歩くシーンがある。解き明かされない謎に複雑な想いを抱えながらも、大輝と梨央は互いの存在に励まされるかのようにリラックスした表情を浮かべていた。ここで松下は、「全部片付いたら……」という台詞の前に照れたように自身の鼻を触っている。この些細な仕草こそが、彼が作り上げてきた「愚かなほど真っ直ぐで愛にひたむきな男」を物語っているように感じた。どこか控えめで、梨央を思いやることを優先するがゆえに大切な言葉さえ言い淀む。そして照れ臭そうなそぶりを見せるのだ。そんな小さな瞬間に、大輝と、この作品と出会えた喜びを感じずにはいられない。

『最愛』宮崎大輝(松下洸平)

 そしてとうとう、三つの殺人事件(及び事故死)の謎が解き明かされた。大輝がしおりの件を洗い直すことで明るみになったのが、加瀬(井浦新)の存在だった。大輝は驚きを隠せないままに、電話をかけ真相を問いただす。ここでの松下の芝居もまた、視聴者の心を強く揺さぶる。



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