『二月の勝者』ついにラスト=合格発表 視聴者の生徒たちへの思い入れの強さを実感

『二月の勝者』合格発表の結果は?

 中学受験というテーマを掲げながらも、合格すること・させること“だけ”が受験ではないと示した「二月の勝者-絶対合格の教室-」(日本テレビ系)。「二月の勝者がんばれ受験生」のハッシュタグとともに、子どもたちを見つめてきた多くの視聴者が涙し、歓喜した。
期間にして約3カ月という短い付き合いながら、筆者自身、子どもたちへの思い入れを強く実感した最終話。合格発表ページをスクロールするシーンでは毎回、手を組んで祈った。かつて2クールで放送されていた『3年B組金八先生』(TBS系)シリーズでの合格発表シーンがよぎったほどだ。ここまで作品に入り込むことができたのは、多数の参考文献をもとに描かれたリアリティのある原作、それらを忠実かつ丁寧に実写化した制作スタッフ、キャストの力、そのすべてがあってこそだ。

 「お前たちの頑張りは俺が知っている。心配することは何もない」と橘(池田鉄洋)、「楽しんできてほしい。不安になったときには、合格したあとの未来を想像してほしい」と桂(瀧内公美)、「自分を信じて。ずっと応援してる」と佐倉(井上真央)。受験前日、講師たちはそれぞれの言葉で子どもたちを送り出す。

 「頑張れ」という言葉は、ときにプレッシャーになることもあるだろう。受験の際には避けられる場合もある。けれど頑張ろうとする者に「頑張れ」と言ってやれるのは、その言葉に説得力を持たせることが出来るのは、その努力を近くで見つめてきた者にしかできない役目。「自分を信じていい」「頑張れ」と心から言ってくれる人がいること、それは子どもたちにとって何より心強いことではないだろうか。

 毎年、受験前夜には「自分が子どもたちにやってきたこと、言ってきたことは正しかったのだろうか」と、不安で震えが止まらなくなるという黒木(柳楽優弥)。第9話で明かされた過去ーー生徒が難関校に合格した後の未来を想像出来ておらず、不登校、家庭崩壊を招いたことーーが思い出される。その姿に佐倉は「不安になるのは頑張ってきた証拠」だと、黒木自身の言葉をかける。まさにその通り、黒木が子どもたち一人ひとりの未来と向き合ってきたからこそ生じる不安。受験と同様、真剣に取り組んだことこそ結果が怖いものだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる