『アバランチ』大山の反撃に羽生たちの判断は？　ヒール役・渡部篤郎の怪演光る

　そこから浮かび上がるのは、ドラマの臨界点を軽々と超えるスペクタクル性と権力が持つ暴力性だった。一般人の前で総理大臣を暗殺するおあつらえ向きの舞台設定から、アバランチの介入を受けて大山が指示した「次の作戦」。その矛先は人々に向けられていた。戦争を引き起こすのは権力だが、いつの時代も権力がその巨大な足で踏みつぶすのは民衆である。

　幼児性をむき出しにした郷原を引き合いに出すまでもなく、本作が権力≒悪という単純な二分論に立っていないことは明らかだ。それだけに権力がもつ底知れない不気味さが際立っている。これまでに多くの悪役を演じてきた渡部篤郎だが、個人的には本作における腹の読めないヒールぶりは『クロコーチ』（TBS系）の沢渡を超えたと思う。『アバランチ』という作品を魅力的にしているのは間違いなくこの人だ。

■放送情報
『アバランチ』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00～22:54放送
出演：綾野剛、福士蒼汰、千葉雄大、高橋メアリージュン、田中要次、利重剛、堀田茜、渡部篤郎（特別出演）、木村佳乃ほか
監督：藤井道人、三宅喜重（カンテレ）、山口健人
音楽：堤裕介
主題歌：UVERworld（ソニー・ミュージックレーベルズ）
プロデュース：安藤和久（カンテレ）、岡光寛子（カンテレ）、笠置高弘（トライストーン・ピクチャーズ）、濵弘大（トライストーン・ピクチャーズ）
制作：カンテレ、トライストーン・ピクチャーズ
(c)カンテレ
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