『映像研には手を出すな!』が描いた創作にかける情熱 再放送を機にその魅力を紐解く

 TVアニメ『映像研には手を出すな!』がEテレにて再放送中だ。

 最近ではイギリスのミュージシャン、エルヴィス・コステロが自身の「文化的ハイライト」のひとつとして本作を挙げたことでも話題となっている。なぜこのアニメはクリエイターをはじめ、多くの人々を魅了し続けているのだろう?  改めておさらいしてみよう。

 『映像研には手を出すな!』は大童澄瞳によるコミックが原作。TVアニメ版は監督・シリーズ構成を湯浅政明が、アニメーション制作をサイエンスSARUが行っている。

 第1話で、アニメーションが大好きな高校1年生・浅草みどりとその友人・金森さやかはアニメ研究会の上映会に参加するが、そこで同級生のカリスマ読者モデル・水崎ツバメと出会う。

 ツバメもアニメーションが大好きだが、家庭の事情でアニメ研究会に入るのを止められていることが判明。みどりとさやか、そしてツバメは、3人で映像研究同好会、略して「映像研」を立ち上げ、ここで自分たちだけのアニメーションづくりを目指していくーーというのが本作の導入部だ。

 映像研によるいくつかの作品づくりを通し、本作は創作行為への根源的な欲求や、それが徐々に形になっていく際の喜びが描かれていく。

 「アニメは設定が命」が信条で、オリジナルの設定画をスケッチブックに描き続けてきたみどり。アニメーター志望でスケッチブックに人物画を描いてきたツバメ。ふたりが互いのアイデアを組み合わせることで、よりよい作品をつくろうとする掛け合いのワクワク感は、本作の魅力のひとつだ。

 また、放っておいたらいつまでもこだわり続けてしまうクリエイター気質のふたりをたしなめて、作品を世に出すための現実的なクオリティコントロールを行うのが、頭が回るプロデューサー気質なさやかの役目。さやかが居なければ、みどりとツバメの「最強の世界」は、机上の空論で終わってしまう。映像研は、3人の情熱と才能が合わさってはじめて、新しい世界を生み出すことができるのだ。

TVアニメ「映像研には手を出すな!」名言集PV

 彼女たちのやり取りは、「なぜ我々はアニメーションに心躍るのか?」という根本的な問いに対し、明晰な言葉を与えてくれる。3人が話しているのはアニメーションについてだが、そこで語られる情熱はあらゆる創作行為に通底するものでもあるだろう。

 本作を視聴したあとは、これまで漫然と観てきたアニメ作品、ひいてはあらゆる創作物の背後にある数多の作り手の情熱やこだわりが意識できるし、自分もなにかを形にしてみたいという衝動に駆られる。そこに本作がとりわけクリエイターに支持される理由があるのではないだろうか?



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