鬼畜ジジィの償いデスマッチ98分一本勝負! 『ドント・ブリーズ2』はアクションの快作

『ドント・ブリーズ2』はアクションの快作

 前半で老人と娘の交流を描いたうえで、自宅で娘が強盗団に襲われ、さらに前作で老人の相棒として奮闘した犬を不幸が襲う。涙に暮れる老人は、前作よろしく我が家への“侵入者”に戦いを挑むが、今回は何も知らない若者たちではなく、全員が武装した屈強な強盗団だ。ネイビーシールズで殺人術を修め、脱いだらムキムキでも、しょせんは老人である。悪党たちとド迫力の肉弾戦を繰り広げるが、徐々に疲弊し、ズタボロになっていく。おまけに犬に追われたり、ガラスの天井を突き破って落下したりと、前作で老人が若者にやったことが、すべて自分に返ってくる。まさしく因果応報としか言いようがない老人への容赦なき追い込みが続き、さらに娘に関する衝撃の事実と、予想の遥か上を行く鬼畜展開が炸裂する。そして観客が「鬼畜ジジィも極悪強盗団もどうでもいい、とにかくこの無垢な少女だけは守られてくれ」そう願った瞬間、まさに「今!」としかいいようがない最高のタイミングで、老人の逆襲が始まる。そして血みどろの戦いが終わったあと、老人は言葉にせねばならない事実を口にして、己の罪と向き合うのであった。

『ドント・ブリーズ2』(c)2021 DB2 Productions, LLC. All Rights Reserved.

 怪物と化した老人に襲われる人間たちの物語を、怪物となった老人が必死に人間に戻ろうとする物語にすることで、本作は見事に鬼畜ジジィを主人公にしてみせた。情け容赦ない暴力描写と、鬼畜ジジィの奮闘をストイックに描き、まるで観客に彼が主人公に相応しいか問いかけるような余韻が心憎い。「彼は許されたと思っていいのですか?」と、さだまさしの「償い」が聞こえてくるようだ。もうホラーとは呼べないが、ヴァイオレンス・アクション映画の快作であることは間違いないだろう。しかしレンタルショップの店員さんは、配置に困るだろうなぁ。前作はホラーの棚でいいけど、これはアクション映画の棚に置いた方がいいし。いや、続けて観たいお客さんには不親切だけれど……。

■リリース情報
『ドント・ブリーズ2』
デジタル先行配信中
11月24日(水)ブルーレイ&DVD発売、レンタル開始
ブルーレイ&DVDセット:5,280円(税込)
監督:ロド・サヤゲス
脚本:フェデ・アルバレス、ロド・サヤゲス
製作:フェデ・アルバレス、サム・ライミ、ロブ・タパート
出演:スティーヴン・ラング、ブレンダン・セクストン三世、マデリン・グレース
発売元・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
(c)2021 DB2 Productions, LLC. All Rights Reserved.
映画『ドント・ブリーズ2』オフィシャルサイト:https://bd-dvd.sonypictures.jp/donburi-movie/

『ドント・ブリーズ』
デジタル配信中
Blu-ray 1,980円(税込)/DVD 1,408円(税込)
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
(c)2016 Blind Man Productions, LLC. All Rights Reserved.

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