鬼畜ジジィの償いデスマッチ98分一本勝負! 『ドント・ブリーズ2』はアクションの快作

『ドント・ブリーズ2』はアクションの快作

 鬼畜ジジィの償いデスマッチ98分一本勝負……かくれんぼサイコホラーだった『ドント・ブリーズ』(2016年)の続編『ドント・ブリーズ2』(2021年)は、まさかのヴァイオレンス・アクション映画に仕上がっている。

 まずは、すべての始まりである前作のあらすじを紹介しよう。荒廃した町・デトロイト。盲目の老人(スティーヴン・ラング)の家に泥棒に入った若者たち。しかし盲目の老人は元ネイビーシールズの戦いのプロで、さらに擁護不可能な鬼畜行為をやっている怪人だった。かくして老人の手によって、若者たちは1人また1人と殺されてゆき、最後は何となく続編が出来そうな空気で終わる。

『ドント・ブリーズ』(c)2016 Blind Man Productions, LLC. All Rights Reserved.

 そして本作では、あの若者たちとの攻防から数年の月日が流れ……何とビックリ、老人はどこからか湧いて出た娘のフェニックス(マデリン・グレース)と穏やかに暮らしていた。不器用ながら、精一杯の愛情をもって娘と接する老人。禰豆子(『鬼滅の刃』)くらいうめき声中心だった前作から打って変わって、よく喋るようになり、何ならご近所付き合い的なこともやっている。心なしか背格好も細くなって……「頑固で偏屈だけど、優しいおじいちゃん」になっていたのである。しかし、そのかりそめの平穏は、完全武装の強盗団の襲撃でブチ壊されるのであった。

『ドント・ブリーズ2』(c)2021 DB2 Productions, LLC. All Rights Reserved.

 「『ドント・ブリーズ』の続編は、老人が主役になって、少女を助けるために悪人と戦う話になるらしい」。そんな情報が報道されたとき、誰もが耳を疑った。なぜなら1作目の老人はスゲェ強いけれど、同時にフォローのしようがない鬼畜だったからだ。若者を殺すのは良いとしても、劇中終盤に観客をドン引きさせた“とある行為”はフォローのしようがなかった。「どう頑張っても主人公にするには鬼畜すぎる。どうやって主人公にするんだ?」などと思って本作に臨んだわけだが……ここで作り手は真っ向勝負に出た。下手なフォロー(たとえば前作の鬼畜行為を無かったことにするとか、別の誰かの差し金だったとか、そういう設定の改変)は一切せず、今までの罪を償わせるように、劇中の大半の時間を使って、老人を徹底的に痛めつけるのだ。

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