生田斗真が金髪姿で大暴れ 『土竜の唄 香港狂騒曲』は任侠ものと一線画したエンタメ作に

 衝撃の潜入エンターテインメントが帰ってきた。11月13日21時から地上波初放送される『土竜の唄 香港狂騒曲』は、痛快アクションに怒涛のギャグが満載された全方位型の娯楽作だ。

 「土竜(モグラ)」とは潜入捜査官のこと。裏社会に潜って犯罪の証拠をつかむのが彼らの仕事である。身分を変えて任務を遂行するモグラたちは、もし正体がバレればターゲットに報復を受け、生命の保証はない。わが身をかけた命がけの任務であり、モグラを主人公にした映画は、さぞかしスリルとバイオレンスに満ちた手に汗握るサスペンスになるに違いないと思わせる。しかし、2014年の第1作『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』は、想像の斜め上を行くヤクザ映画として私たちの度肝を抜いた。

 これは私見だが、アウトロームービーの出来は主要キャラの金髪のクオリティに比例すると考えている。『殺し屋1』の浅野忠信や『新宿スワン』の綾野剛、最近では『東京リベンジャーズ』の北村匠海、吉沢亮が代表例だが、『土竜の唄』の生田もこの方程式にかなっている。生田が演じる菊川玲二は、ヒョウ柄の派手なジャケットに原作のトサカのような金髪を映画版ではオールバックに固めており、その姿はヤクザというよりもホスト。マンガから抜け出したという形容がぴったりで、原作ファンも納得の完成度だった。何より立ち姿がさまになっており、役を自分のものにしたオーラに実写版の成功を確信した。

 極秘任務をしているのに誰よりも目立つルックスという事実からも、本作が他の任侠ものと一線を画していることがわかる。原作では極道のおどろおどろしさも描写されているが、映画版はフィクションを誇張することで裏組織のダークさを払拭。痛快なアクション喜劇として生まれ変わらせた。それに貢献しているのが三池崇史監督と脚本を手がけた宮藤官九郎だ。『ゼブラーマン』シリーズ以来のコンビは、血なまぐさい場面でのギャグや下ネタの応酬、特殊効果を駆使したアクションシーンなど、原作のテイストを取り込みながら、ストーリーと映像の両面に徹底してこだわり抜いた。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「映画シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる