『イカゲーム』『海街チャチャチャ』とのギャップを楽しむ Netflix配信中お仕事系韓ドラ4選
交番勤務の新人警察官が直面する壮絶な日常『ライブ』(2018年)
制作国を問わず、ドラマで描かれる職業のトップ3に入る警察官。だが多くは凶悪犯罪を追う刑事や、検察と対立する警察のようなドラマチックな部分がクローズアップされがちだ。就職難で公務員としての警察官に興味を持ったハン・ジョンオ(『保健教師アン・ウニョン』のチョン・ユミ)と、マルチ商法にひっかかり警察のお世話になったヨム・サンス(『サウンド・オブ・ハート』『犯人はお前だ!』のイ・グァンス)が、目が回るほど忙しい交番勤務の新人警察官として職務を学んでいく。警察学校で鬼教官オ・ヤンチョン(『スウィンダラーズ』『インサイド・ビューティー』のペ・ソンウ)にしごかれ、ほうぼうの体で卒業したら、配属先でもヤンチョンが待ち構えていた。地域に密着した交番の業務は交通整理から酔っぱらい対応、突発的な事件事故と幅広い。事件の裏には複雑な事情があり、新人警官はことあるごとに翻弄され涙を流し、心を強くしていく。それはヤンチョンや地区隊長(『応答せよ』シリーズ、『ミッドナイト・ランナー』『シーシュポス: The Myth』のソン・ドンイル)などのベテラン警官であっても同様で、使命感と後悔の間で常にもがいている。
第1話の就職試験のシーンに、『ヴィンチェンツォ』『恋愛体質~30歳になれば大丈夫~』のチョン・ヨビンが出演。
『保健教師アン・ウニョン』(2020年)、『サウンド・オブ・ハート』(2016年)、『犯人はお前だ!』(2018年~2021年)、『応答せよ1997』(2012年)、『恋のスケッチ~応答せよ1988~』(2015年)、『スウィンダラーズ』(2017年)、『インサイド・ビューティー』(2015年)、『シーシュポス:The Myth』(2021年)もNetflixで配信中。
職業系韓国ドラマの金字塔『ミセン-未生-』(2014年)
韓ドラファンの間でもベストドラマに挙げられることが多い『ミセン』。ウェブトゥーン原作のドラマ化で、夢を絶たれた天才囲碁棋士が総合商社のインターンとして入社し、社会の荒波に揉まれていく様子を描く。2014年の放送当時、ドロドロ恋愛や難病・記憶喪失などの韓ドラおなじみ設定を排除し、会社生活と上司や仲間との信頼関係にフォーカスした珍しいドラマが爆発的人気となった。全放送局のドラマ・映画を対象に授与される百想芸術大賞で、テレビ部門演出賞など3部門を受賞。2016年には日本でもリメイク『HOPE~期待ゼロの新入社員~』(フジテレビ系)が制作された。
インターンとして総合商社に潜り込んだチャン・グレ(『それでも僕らは走り続ける』『王は愛する』のイム・シワン)と、チャン・ベッキ(『椿の花咲く頃』『相続者たち』、『ミッドナイト・ランナー』『記憶の夜』のカン・ハヌル)、アン・ヨンイ(『サニー 永遠の仲間たち』『シークレット・ジョブ』『ピョン・ヒョクの恋』のカン・ソラ)ら同期入社組は、失敗と反省を繰り返しながら、社会人として一歩ずつ成長していく。理不尽な会社のやり方に反発し信条を貫く営業3課の上司オ・サンシク(『第8日の夜』『麻薬王』のイ・ソンミン)と、面倒見のいい先輩キム・ドンシク(『ビューティ・インサイド』『麻薬王』『賢い医師生活』のキム・デミョン)に誘発され、チャン・グレは自分なりの処世術を学んでいく。
このドラマで描かれるセクハラ・パワハラ、社内いじめ、性差別、序列文化、収賄などは、2021年に観ると完全にアウトなものばかりだが、このような理不尽がまかり通った時代は完全に過去のものになったわけではない。「未生」とは、囲碁用語でまだ生死が決まっていない石のこと。チャン・グレや同期の新入社員たちは、会社という人生の墓場に片足を突っ込んでしまったのかもしれないが、一方で勤労によって得られた経験や仲間は、希望や未来にもなりうる。視聴者がこのドラマを評価し愛するのは、社会人を何年続けても迷い戸惑う“それでも働く理由”に、一抹の希望を与えてくれるからかもしれない。
『それでも僕らは走り続ける』(2020年)、『王は愛する』(2017年)、『椿の花咲く頃』(2019年)、『相続者たち』(2013年)、『ミッドナイト・ランナー』(2018年)、『記憶の夜』(2017年)、『サニー 永遠の仲間たち』(2011年)、『シークレット・ジョブ』(2020年)、『ピョン・ヒョクの恋』(2017年)、『第8日の夜』(2021年)、『麻薬王』(2018年)もNetflixにて配信中。