『おかえりモネ』永瀬廉、“笑顔の仮面”を剥ぎ取る圧巻の芝居 亮と未知に降り注いだ光
「お前になにがわかる、そう思ってきたよ、ずっと! 俺以外の全員に!」
亮(永瀬廉)の本音が、未知(蒔田彩珠)と百音(清原果耶)にぶつけられる。やっと。「大丈夫だから」と自分を無理に偽り続けていた亮の笑顔の仮面が剥がれた瞬間だ。
『おかえりモネ』(NHK総合)第110話で、嵐の海から無事戻ってきた亮。その帰りを人一倍に、祈るようにして待っていたのが未知だった。「海から戻ったら話したいことがある」ーー未知が話したいこと、その思いは亮も十分に受け止めていた。しかし、その愛を受け止めきれないのは、母親である美波(坂井真紀)の喪失から。亮自身も百音を好きになることで、「死ぬほど好きで大事なやつがいるとかさ、その人目の前から消えたら自分が全部ぶっ壊れる」と自分の感情に蓋をしてきた。
「大丈夫」とは、亮にとって呪縛のような言葉だ。相手を思いやっているようで、実は同時に拒み、突き放してもいる。亮が大丈夫ではないのに、大丈夫なふりをしていることは、とっくに未知も百音も気づき、傷ついてきた。時に人は頼られることで必要とされていることを実感できる。百音と菅波(坂口健太郎)がそうであるように。
「りょーちん、笑わなくていいよ。大丈夫って言いながら、本当はなんて思ってたの?」ーー亮の仮面を取ったのは、百音のしぶとさだ。その言葉をスイッチに、亮からどんどん作り笑いが消えていく。これまで度々、感情をあらわにしてきた亮。新次(浅野忠信)の秘めていた苦悩を聞き、心の叫びをぶつけるシーン。百音に思いを打ち明けるシーン。そこには煌めくステージで歌い踊るKing & Princeとしての永瀬廉ではなく、俳優としての永瀬廉がいた。