『ひぐらしのなく頃に卒』沙都子と梨花が共依存から脱却する物語に 別作との繋がりも
2021年7月よりスタートしたTVアニメ『ひぐらしのなく頃に卒』が、9月30日に放送された第15話で最終回を迎えた。
昨年、同人サークル「07th Expansion」によるサウンドノベルゲームを原作としたTVアニメ『ひぐらしのなく頃に』シリーズの新プロジェクトが始動。本作は2020年10月~2021年3月に放送された“業”で起きた惨劇の真相を明らかにしてきた。その中で常に視聴者の注目を一身に集めていたのが、メインキャラクターの一人である沙都子の豹変ぶりだ。
昭和58年に架空の集落“雛見沢村”で起きる惨劇を回避した後、親友の梨花と共に聖ルチーア学園に進学した沙都子。梨花が学園の人気者となっていく一方で、落ちこぼれの烙印を押された彼女が手に入れたのは、梨花と同じ“繰り返す者の能力”だった。そんな沙都子は「梨花と一緒に雛見沢で暮らしたい」という一身で、人々を操って惨劇を起こし、再びループに巻き込まれた梨花を絶望させてきたのである。
「誰よりも梨花のことを大事に思っているはずの彼女がなぜ?」と目を疑いたくなるほど身勝手な行動を取っていた沙都子だったが、その風向きが“祟明し編”から変わり始めた。このエピソードでは沙都子が叔父の鉄平に虐待されているかのように振る舞い、一方で鉄平には雛見沢村の住民全員からいじめを受けていると告白。悲劇のヒロインを見事に演じていたが、そんな沙都子が別人格に乗っ取られていることを暗示させる描写があったのだ。またエウアが“魔女”と表現する別人格に沙都子が取り込まれていく一方で、ループから抜け出せない梨花は希望を捨て、雛見沢で沙都子たちと暮らすことを決意する。
しかし、沙都子は“神楽し編”で致命的なミスを犯した。誕生日に梨花からプレゼントをもらった沙都子は過去の記憶から、それがパンチが飛び出す“びっくり箱”だと確信し、咄嗟に身を守る。しかし、梨花は直前に中身をぬいぐるみに変えていたのだ。このことがきっかけで、梨花は沙都子も“繰り返す者”であることを知る。
ここからは沙都子と梨花、そして二人の行く末をカケラの海で見守るエウアと羽入の激しいバトルへ突入。沙都子と梨花は時と場所を変え、ループを繰り返しながら互いの本音をぶつけていく。シリアスなシーンのはずが、思わず笑ってしまったのは勉強嫌いな沙都子に対して梨花が放った「勉強が嫌だから行きたくない!? あんたが真面目にやれば済む話でしょうがっ!!」という一言。おそらく、新シリーズを通して視聴者がずっと思っていた本音だろう。
さらに、繰り返す者を本当の意味で殺すことができる“鬼狩柳桜”を奪い合う場面で二人は巫女の姿に。それぞれの身体から青と黄のオーラが放たれ、空中で剣を交える二人の姿が、まるで『ドラゴンボール』の戦闘シーンのようだとSNSではツッコミが相次いだ。こうしてある意味大きな話題となった最終回だったが、やはり今回の新シリーズも旧作から「仲間や自分を信じること」というテーマを引き継いでいたように思う。