『ひぐらしのなく頃に 業』はリメイクにも見えた“完全新作” プロデューサーが語る制作背景
アニメ『ひぐらしのなく頃に 業』(TOKYO MXなど)が現在、第18話まで放送され、順調に、いや、想像以上に絶望的な展開となっている。まさかここまでグロく、衝撃的な内容になるとは、誰が予想しただろうか。
アニメファンを中心に、絶大な人気を誇る『ひぐらしのなく頃に』シリーズ。作品を観たことはなくとも、その名を聞いたことはあるという人は大多数だと思う。
それにしても、新型コロナウイルス感染症の影響で延期となっていた『ひぐらしのなく頃に』新シリーズが、10月に放送開始されることが発表されると、ファンの間では「一応ハッピーエンドになったはずなのに?」「なぜ今?」などという声が続出していた。しかも、本作は「仲間と絆」などのメッセージ性が非常に強いと言われる作品でもある。
本作のプロデュースを手掛ける株式会社印フィット代表・永谷敬之氏は、新作の狙いなどについて、改めて次のように語る。
「『ひぐらしのなく頃に』は、内包したメッセージ性の強さもさることながら、ミステリー作品ならではの考察から生まれる没入感も魅力の一つだと思います。普遍的な魅力はこれまでの作品の歴史の中から生まれてきていて、既存のユーザーだけでなく、今の令和という時代に、ここから生まれる新しいユーザーも十分取り込めると考えました」
ここで少々この作品の説明をしておきたい。『ひぐらしのなく頃に』は、人口2000人に満たない錆びれた村落・雛見沢村を舞台に、村に伝わる古い因習「綿流し」を軸として起こる連続怪死・失踪事件を扱った連作式のミステリーだ。
もともと竜騎士07による、同人サークル「07th Expanshion」によるサウンドノベルゲームを原作として、2006年にアニメ版第一弾が放送されると、漫画や小説、実写映画、パチンコなどに至るまで、様々なメディアミックス展開を繰り広げてきた。
その一方で、アニメについては実は「途中で挫折した」という人も、そこそこいる。その理由はおそらく大きく分けて3種あり、1つは第1期の冒頭の絵が少々古臭く、キャラも強烈で、萌え系アニメだと思ってしまった……というパターン。2つ目は、トラウマ的な恐怖展開・恐怖シーンが数々あることで、「怖すぎて脱落した」パターン。3つ目は、「カオスすぎて全然わからなくて、途中でやめた」パターン。
というのも、第1期の「鬼隠し編」「綿流し編」「祟殺し編」「暇潰し編」まで観ても、謎は深まるばかりなのだが、実はこれは「出題編」。第2期の「解答編」まで観ることによって、初めて分かる構成になっているからだ。物語の中では、ある少女の因縁により、昭和58年の6月が延々と繰り返されている。それ自体、わからないカオスぶりをグッとこらえて、途中でようやく見えてくることなのだ。
正直、誰にでも入りやすく、わかりやすい物語ではない。だからこそ、絵柄への抵抗感や、怖すぎること、意味がわからなすぎることなど、様々な挫折ポイントを乗り越えて、話がつながったときの高揚感や驚き、感動はすさまじく大きい物語となっている。