『海街チャチャチャ』人気の理由は“架空の地方都市”? まるでオンライン旅行のような癒し

『海街チャチャチャ』地方都市要素が癒しに

 Netflixで本国での放送と合わせて同日配信中の『海街チャチャチャ』が人気だ。特に日本ではあの『賢い医師生活』よりも上位にいて驚いた。その理由はどこにあるのだろうか。

 このドラマは、コンジンという架空の地方都市を舞台に繰り広げられるラブコメディ。同じくNetflixで全話配信中の『わかっていても』と違って韓国の恋愛ドラマの王道というか、伝統をしっかりと受け継ぎ、そこに新たな風味をプラスしている。

 ストーリーは都会(ソウル)でキャリアまっしぐらだったヒロインが、ちょっとしたトラブルからキャリアに挫折し、そんな時出会った男と恋に落ちる、という王道。

 ツンとした、一見自分本位に見えるヒロインのキャラクター(地方都市という田舎で最初は地元の人々に受け入れられないものの、実は心の優しい女性だということがわかり町に馴染んでいく)、最初反発し合っていた二人が次第に気になる存在になる、という展開も韓国ドラマに限らずラブコメの古典パターンだ。

 さらに、ヒロインは幼くして亡くした母への思いが強く、大きな心の傷があり、彼女の性格形成の多くを占めている。

 相手役、イケメンな上になんでもできる町のスーパーマン的存在、キムソノ演じるドゥシクの、パーフェクトな頼れる男に隠された心の傷、これもめちゃくちゃ韓国ドラマ的と、伝統アイテムは続く。

 後半は、二人がお互いの見えない痛みを少しずつ癒していく。そこに絶妙の味付けをする町の人たち、という展開になるのだろう。

 一方で、新しい風味だと感じるのは、男/女の描かれ方。歯科医であるヒロインはドラマ冒頭で勤めているソウルの大きな歯医者の院長とぶつかり、辞めるのだが、この院長は女性である。少し前だとセクハラやパワハラ、男性であることが多かったキャラクターだし、コンジンという田舎町のコミュニティにおける男女の配置やキャラクターというのも、ハラモニ(おばあちゃん)が大活躍するのは王道として、少しずつ変化させているのを感じる。

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