浜辺美波、平野紫耀、神尾楓珠 若手俳優の教師役抜擢がもたらす影響は?
『3年B組金八先生』(TBS系)の金八先生や、『ごくせん』(日本テレビ系)のヤンクミ、『GTO』(フジテレビ系)の鬼塚など、学園ドラマはさまざまな名物教師を生み出してきた。
最近では、24時間テレビ44ドラマスペシャル『生徒が人生をやり直せる学校』(日本テレビ系)の平野紫耀(King & Prince)や浜辺美波。10月期放送のドラマ『顔だけ先生』(東海テレビ・フジテレビ系)の神尾楓珠など、数々の若手俳優が教師役に挑戦しており、学園ドラマで教師を演じることが新たなステップへの登竜門になっている。
「俳優」と「アイドル」にとって、「初の教師役」というのは別の意味を持つ。まず、俳優にとっては役の幅を広げるきっかけになっている。2012年版『GTO』で初の教師役に挑戦した瀧本美織は当時20歳。当時まだフレッシュさはあったものの、新人教師役として違和感はなく、実年齢よりも上の役どころも演じられるということを証明した。
『生徒が人生をやり直せる学校』で初の教師役に挑戦した浜辺も当時同じく20歳。生徒役の主要キャスト・田辺桃子は浜辺よりも年上で、役柄的に関わりが深かった桜田ひよりとも、2歳しか歳の差がない。橋本環奈と共演しているCMでも教師姿を披露しているものの、いざドラマで本格的に教師役をやるとなれば幼さが拭えないのでは?と不安を抱いた。しかし、ドラマがスタートすると、確かに「教師」としてそこにただずむ浜辺の姿があった。生徒役のキャストと年齢が近い現場であっても、教師としての風格を出せていたことに浜辺の演技力の高さを感じた。岡部薫子という役柄を通して、今後の幅が広がったことは間違いない。
若い世代の俳優が教師役に進出すると「学生役に戻れないのでは?」という懸念も囁かれるが、2014年に『地獄先生ぬ〜べ〜』(日本テレビ系)で化学科教師を演じていた桐谷美玲は、翌年公開の映画『ヒロイン失格』(2015年)で“最後の制服”と謳い、学生姿を披露している。教師役ではないが、浜辺と同世代の杉咲花は、2020年度後期連続テレビ小説『おちょやん』(NHK総合)でヒロインの40代あたりまでを演じたあとのドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』(日本テレビ系)で、高校生を演じることが決まっている。実年齢よりも上の役柄を演じることで役の幅を狭めることはないのだ。
また現在の若手俳優が教師役でメインをはることは「学園ドラマ」の幅を広げることにも繋がっていくことだろう。『顔だけ先生』では、神尾が“顔は満点、中身は赤点”なポンコツ教師に挑む。授業は自分の好きなものについて語るだけ。理科室の人体模型を改造してボクシングの練習用具にしたり、生徒を連れだしてマイタケ狩りに行ったりと問題(?)だらけな役どころだ。こうした自由奔放なキャラクターを演じることができるのも現在22歳の神尾だからこそだし、彼を主役として抜擢したことはZ世代ならではの視点を取り入れた作品にしたいという制作側の狙いもあるのかもしれない。