浜辺美波、平野紫耀、神尾楓珠 若手俳優の教師役抜擢がもたらす影響は?

神尾楓珠ら、20代俳優が教師役に次々抜擢

 次に「アイドル」にとっての教師役進出は、第2のフェーズの始まりともいえる。たとえば、AKB48のセンターとしてグループを牽引していた前田敦子が、卒業後初の連続ドラマ『幽かな彼女』(フジテレビ系)で演じたのは、裏表がある若手教師。「こんなに早く(制服を)脱ぐと思わなかった」と本音を吐露しながらも、体当たりで役に挑んでいた。さらに、乃木坂46の顔として活躍した白石麻衣も、卒業発表の前年に出演したドラマ『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ系)で、初の教師役に挑戦。毎週繰り広げる衝撃発言が話題を集め、新境地を開拓した。アイドル=少女/少女というイメージはまだ根付いている。女性の場合は特に顕著だろう。「親やすさ」や「少年/少女」という固定のイメージがつきやすいアイドルにとって、生徒に教える立場である教師役はイメージ脱却をしていくのに分かりやすい役どころなのではないだろうか。

 ちなみにKing & Princeの平野は、8月20日公開の映画『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』で学生役を演じ、公開翌日にはドラマ『生徒が人生をやり直せる学校』が放送。本作では教師役に挑戦した。同時期に学生と教師を演じたが、両作とも全く違和感を感じさせないのは、平野の演技力があってこそ。制服を脱ぐか、着続けるか……24歳という微妙な年頃だからこそ迷いも生じると思うが、どちらもこなせるのは彼の強みでもある。可愛らしい表情にガッチリとした体格。あどけなさと成熟さの両方を兼ね備えたビジュアルも、彼が学生役と教師役の両方を演じられる強みになっているのかもしれない。

 前田敦子が27歳にして、映画『町田くんの世界』(2019年)で学生役を演じても違和感がなかったように、平野もしばらくの間は、大人な役柄と青春の狭間を行き交うことになるだろう。しかし、今回の教師役がアイドル・平野紫耀にとって新たな側面を見せるきっかけになったことは明らかだ。

 また、『生徒が人生をやり直せる学校』、『顔だけ先生』のように新人教師を主役した作品は、演者やドラマシーンだけでなく視聴者にとってもプラスの影響をもたらすだろう。近しい年齢の俳優陣が教師を演じることで、若者が教師という職業に興味を持つきっかけになるかもしれない。学校に行きたくないと感じる学生の胸にも、同世代の役者が語りかけることで、言葉がスッと入ってくる可能性もある。若手俳優が教師役を務めることで、将来に不安を抱える学生たちが前向きになる気かっけとなることを願う。

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