気炎を上げるNetflix本命は『ザ・クラウン』 エミー賞ドラマシリーズは大混戦!?

エミー賞、Netflixの本命は?

 2015年以降、『ゲーム・オブ・スローンズ』が4度に渡って制覇し、シリーズ終了後の2020年は『メディア王~華麗なる一族~/サクセッション』がその座についたエミー賞ドラマシリーズ部門作品賞。HBOの牙城とも言えるカテゴリーだが、今年はちょっと様子が違う。『ゲーム・オブ・スローンズ』のような超大作がなければ、コロナショックの影響で『メディア王 華麗なる一族』最新シーズンも不在。しかもHBOからノミネートされている『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』は先頃、シーズン1での打ち切りが発表されたばかりだ。今年は多くの作品に受賞チャンスがある大混戦となった。

 気炎を上げるのは初の作品賞受賞を目指すNetflixだ。総ノミネート数ではわずかにHBOに譲ったものの、今年も129の候補を獲得。しかし例年、ノミネート数ではトップに立ちながら主要部門の受賞には至らず、賞レースの主役になることは叶わなかった。この傾向はアカデミー賞も同様で、今年のオスカーは惨敗に終わっている。コロナ禍で苦境に立たされたハリウッドがNetflixに足を向けて寝れるとは思えないが、果たしてエミー賞ではどんな評価が下されるのか注目したい。

『ザ・クラウン』(Netflix)

 そんなNetflixの本命作品が今年最多24候補の『ザ・クラウン』だ。1980年代を舞台にする今回のシーズン4では、未だイギリス王室にとって火種とも言えるチャールズ皇太子とダイアナ妃の世紀のロマンス、そして泥沼の結婚生活が描かれる。本人が憑依したかのようなそっくりぶりを見せるジョシュ・オコナー、エマ・コリンら若手は昨年末からの賞レースを席巻。そしてシリーズ最強のヴィランとも言えるサッチャー首相を怪演したジリアン・アンダーソンは助演女優賞の大本命だろう。

『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』(c)2021 MGM Television Entertainment Inc. and Relentless Productions LLC. All Rights Reserved.

 前述のHBOによる作品賞連覇を唯一、阻んだのが2017年にシーズン1で受賞した『ハンドメイズ・テイル』だ。マーガレット・アトウッドの同名ディストピア小説を原作とする本作は、時の#MeTooムーブメントの後押しも受けてこの年のエミー賞を席巻。その後、主要部門に食い込むことはなかったが、シーズン4を迎えた今回、21のノミネートを獲得している。演技部門8人のノミネートは今年最多記録だ。日本では8月27日よりHuluで最新シーズンがリリースされている。

『マンダロリアン』(c)2020 Lucasfilm Ltd.

 Netflixが最も警戒するのは同じく最多24候補の『マンダロリアン』ではないか。『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』直後を舞台にしたこのスピンオフドラマはうるさ型の『スター・ウォーズ』ファンを唸らせ、失敗に終わった続3部作を遥かに上回る人気を獲得した。まさに『スター・ウォーズ』フランチャイズにフォースのバランスをもたらした文句なしの傑作であり、本家シリーズですら成し得ていないビッグタイトル獲得の可能性も大いにあり得る。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「海外ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる