気炎を上げるNetflix本命は『ザ・クラウン』 エミー賞ドラマシリーズは大混戦!?

エミー賞、Netflixの本命は?

 エミー賞はファイナルシーズンを迎える作品に花を持たせる傾向があり(昨年もコメディ部門で『シッツ・クリーク』が独占)、シーズン3が最後となる『POSE/ポーズ』の可能性も捨て難い。人気クリエイター、ライアン・マーフィーが手掛ける本作は1980~90年代のニューヨークLGBTQカルチャーが舞台。人種や性別による差別、エイズなど様々な問題に直面する彼らをポジティブでエネルギッシュに描く快作だ。全米からLGBTQの俳優をキャスティングし、主演のM・J・ロドリゲスはトランスジェンダー女優として初めての主演女優賞候補に。本作の受賞はハリウッドの雇用、キャスティングを変える大きな可能性を秘めているのかも知れないのだ。

 もちろん、HBOの『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』も侮れない。H・P・ラヴクラフトと黒人差別をマッシュアップしたオカルトホラーの本作は、アメリカの負の歴史を俯瞰するハイコンテクストな構成が異色。先頃、主人公の父親を演じたマイケル・ケネス・ウィリアムズの急逝が伝えられ、彼がノミネートされた助演男優賞の行方も気になる。

『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』(c)2020 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO(R) and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc.

 受賞はおそらくこれら5作品の争いになるだろう。

 大ヒットを記録したNetflixのコスチュームドラマ『ブリジャートン家』はまだまだ顔見せ。ヒロインの恋のお相手を演じて大ブレイクしたレジ=ジーン・ペイジは主演男優賞にノミネートされたが、シーズン2には続投しない事が発表されている。ストリーミング各社が優勢の中、唯一3大ネットワークNBCからノミネートされている人気作『THIS IS US』は候補入りこそが勝利だ。そしてゴア描写満載、スーパーヒーローブームへの痛烈な批評である『ザ・ボーイズ』の製作陣は、ノミネートの報を受け「(エミー賞会員は)どうかしてるな」と笑ったという。“けしからん”作風が売りの彼らからすると、まさにしてやったりの候補入りだろう。

 最後まで受賞の行方が読めない賞レースこそ盛り上がるものはない。幸運なことに今年は候補8作品の全てが日本でも視聴可能。“推し”のドラマが作品賞に輝くのか? ぜひともライブ配信で観戦し、受賞式を楽しんでもらいたい。

■配信情報
『ザ・クラウン』
Netflixにて配信中

Hulu プレミア『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』シーズン4(全10話)
Huluにて、毎週金曜日に1話ずつ追加配信
原作:マーガレット・アトウッド 『侍女の物語』(早川書房)
出演:エリザベス・モス、イヴォンヌ・ストラホフスキー、ジョセフ・ファインズ、マックス・ミンゲラ、マデリーン・ブリューワー、アレクシス・ブレデル、アン・ダウドほか
(c)2021 MGM Television Entertainment Inc. and Relentless Productions LLC. All Rights Reserved.

『マンダロリアン』
ディズニープラスにて独占配信中
(c)2020 Lucasfilm Ltd.
公式サイト:https://disneyplus.disney.co.jp/program/mandalorian.html

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